キミは日本語吹替の魅力を知っているか?実力派声優が魅せる【吹替】の真実を堪能せよ!

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INTERVIEW #65 「ザ・シネマ」版 ノオミ・ラパス〈エリザベス・ショウ〉役
佐古真弓 インタビュー

4月26日の“エイリアン・デー”(人類が初めてエイリアンと遭遇した惑星「LV-426」にちなんで制定)に発売される3つのブルーレイBOXから、今回は『プロメテウス<日本語吹替完声版>3枚組 コレクターズ・ブルーレイBOX』をフィーチャー。ソフト初収録となる「ザ・シネマ」版吹替音声で、ノオミ・ラパス演じる主人公エリザベス・ショウ役を担当した佐古真弓のスペシャル・インタビューをお届けする。『ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女』ほかでラパスの吹替に数多く挑んできた佐古をキャスティングして新たに収録した同バージョンは、まさにファン待望と言えるもの。佐古がいかにして女優となり、ラパスをはじめ、レイチェル・マクアダムス、エマ・ストーンらハリウッド最前線の女優を演じるようになったかを語る。

●世田谷生まれの世田谷育ちなのに、家は六畳一間の風呂なしアパート!?


――「吹替の帝王」というシリーズはご存知でしたか?
もちろん、知ってます。同じ事務所の菅生隆之さんを『ヒート』で採り上げていただいていたり、ネットで大塚芳忠さんの『プレデター2』の記事も読みました。大先輩たちばかりで、まさか自分がお話をいただくとは思ってませんでしたが(笑)。
――恒例で、生まれたところから根掘り葉掘りおうかがいさせていただきます(笑)。
はい。生年月日は1978年1月13日で、出身地は東京の世田谷区。世田谷生まれって言うと、よく「お嬢様?」なんて言われるんですけど、私が生まれ育ったところは、築ウン十年の木造アパートの六畳一間風呂なしで、なかなか私の世代では珍しいかと思います。
――六畳一間に、ご家族で住んでいらっしゃった?
はい、そこに親子3人、肩を寄せ合って暮らしてました。母方の実家がすぐ近所にあったので、そのお祖母ちゃんの家にもらい湯に行ってましたね。世田谷区と言っても色々あるんだということは、誤解がないように必ず言うんです(笑)。周りは確かに、大使館の人たちが住んでいるような豪華な地域ではあったんですけど。うちのアパートの前がアメリカ大使館に勤めている方の家で、すごく豪華なお家だったんですよ。その中が見たくて、壁当てしているテニスボールをわざと中に入れて、ピンポンって鳴らして、「ボール入っちゃったから入れてください」とお願いしたことがありました。そうすると、海外ドラマに出てくるようなキレイな金髪のお母さんが出てきて、これまた金髪の人形みたいな兄妹がそこに住んでいて、庭にブランコがあるんですよ。英語もしゃべれないのに、そこで遊ばせてもらった覚えがあります。
――お父様の佐古正人さんも役者であり声優でしたが、幼い頃はなかなか生活が厳しかったということでしょうか?
当時は、まだ売れていない新劇俳優の家ってそんなものだったと思います(笑)。父が芝居で食べられるようになったのは、40代を越えてからでした。余裕はありませんでしたが、母も働きに出ていましたし、生活に困るほどの貧しさではなかったです。
――佐古さんご自身は、どこで芸能の道を意識するようになったんでしょう?
生まれた時から家に“演劇”があったということは大きかったです。小さいときから、父の芝居を観に行かせてもらっていました。初めて観た芝居がPARCO劇場でやっていた『真夜中のパーティ』という作品で、奥田瑛二さん、宝田明さん、篠田三郎さん、細川俊之さんが出演されていたと思います。そこで父がやった役が、エモリーという、いわゆるオネエ言葉のバリバリのオカマさんだったんです。髪型も『スター・トレック』のスポックみたいな髪型にしていて。まだ私が小学校に上がる前で、5歳くらいだったんですけど、舞台稽古に連れて行ってもらったんです。家でも練習だからとオネエ言葉をしゃべってるし、舞台上でもやってるから、「ああ、うちのお父さんはオカマさんなんだ」と思ったんですね。役者という仕事はよく分からなかったですけど、「オカマさん」はなんとなく「男の人だけど女の人みたいにしてる人」と認識していたんですね。友だちに「真弓ちゃんのお父さんって何してるの?」って訊かれて、「うちのお父さん、オカマさん」って答えたら、母に「違うよ。そんなことよそで言っちゃダメ!」と、すごく怒られました。「うちのお父さんの仕事は、人に言っちゃいけないんだ!」って思ったのが、父の仕事についての最初の記憶なんです(笑)。

●カエルの子はカエル──自然と目指していた演劇の世界


――それはスタートの時点から印象が悪くないですか?(笑)
そうなんです(笑)。でもそうやって人前で何かをやる仕事なんだということは、物心ついた時から理解していたんですね。あと私も小っちゃい時から、ちょっと目立ちたがりな子供ではあったと思います。学芸会でも、みんなが恥ずかしがっている中、「ハイ! ハイ! 主役やる!」みたいな子供でしたね。幼稚園のおゆうぎ会で、みんなで鳥の衣装を着た覚えがあるんです。同じ役をみんなで割り台詞でやるんですが、私ひとりだけガンって前に出て、バンってしゃべるみたいな。それを見た母親が「やっぱりカエルの子は……」と思ったと後から聞きました。確かに当時の写真を見ると、みんなまっすぐ横一列に並んでないといけないのに、私だけ一歩前に出てるんですよ(笑)。
――目立ちたがりだった子が、どこかで凹まされて、反動で表に出られなくなるっていうことも少なくないと思うんですが。
それはありましたね。だんだん大きくなってくると、周りも「どうやら真弓ちゃんの家は特殊らしい」って分かってくるじゃないですか。イジメまではいかないですけど「やっぱりね」みたいにヒソヒソ言われたりはするんです。自分だけじゃなく父のことを言われてるのも分かるし、あんまり目立っちゃいけないっていう感覚がだんだん芽生えて、抑えるようになりましたね。
――でも、それでもお芝居をやりたいと思うようになっていったんですね。
それはずっとありました。子供の時はそれも可愛いねという話で済んでいたんですけど、父親としてはだんだん「こいつは、本当にやりたいんじゃないか?」と感じ始めたらしく、牽制されるようになりました。本気かどうか探りを入れられる、みたいな。
――それは、おいくつくらいの時だったんですか?
中学生くらいですかね。中学校では演劇部にいました。その頃までは父も、私が学芸会や行事でアクティブにやっているのを見て喜んでいたんですけど、高校に入ると「進学はどうするんだ、大学行くのか?」っていう話になってくるじゃないですか。私はあんまりそういう話を父としなかったし、父も私に直接話せなくて、母親を介して「真弓が芝居をやりたそうだけど、なんとかして止めろ」みたいなことを言ってました(笑)。母は母で「そんなの自分で言いなさいよ!」って。母は、もうこんな家に生まれ育っちゃったんだから、一回やらせたらいいんじゃない?というスタンスでしたね。でも父は、この世界は大変だから、普通に大学に行って、普通に就職して、普通に結婚して、とにかく普通に幸せに……って言っていたらしいです。でも、私に直接は言わなかったんです。ちょうど父と娘の難しい時期でもあったので、言えばケンカになったでしょうね。随分あとになってから、お酒で酔った時に、私にチラッと話したことがありましたね。「もうこうなっちゃったらしょうがないけど、お父さんは大学行って、就職して欲しかったなあ」って。
――演技の道を志したのは、特に何か大きなきっかけや憧れた役者さんがいたからではなかったんでしょうか?
自然と目指していました。実際にこの世界に入ってから、どれだけ大変なところだったのか気づきました。父親がとてもストイックな役者で、家では父が台本を読んでる時は近づいたらいけないっていう暗黙の了解もありましたから、分かっていたつもりだったんですけど。
――六畳一間では、近づかないようにするのは難しいですね!
難しいですよ(笑)。小学6年の頃、もうちょっと広いお家に引っ越したんですけど、学校から帰って父が何か本を開いてるなと思ったら、何も言わずにランドセルだけ置いて、特に約束もないけど外に出ていましたね。父から直接怒られることはなかったですけど、ピリピリした空気は感じましたし、母からも「お父さんがご本を読んでる時は邪魔しちゃダメ」って言われていました。でも私が中学生ぐらいになると、父の方が家を出て、公園でセリフを覚えたりしていたそうです。後々父が亡くなってから、家にいると私に気を遣っちゃって、父の方が肩身が狭い思いをしていたと俳優仲間の方からうかがいました(笑)。

●父のアドバイスから、“演劇界の東大”文学座へ!


――高校を卒業して、文学座に入られたんですよね?
そうです。やっぱり父親には言わなくちゃいけないので、役者をやりたいという話をしましたら、「どうしてもやりたいんだったら、しっかりした劇団の研究所に入って、お芝居の基礎から学びなさい」と言われたんですね。「文学座はお父さんの知ってる役者さんもいっぱいいるし、研究所もすごくしっかりしていると聞いてるから、難しいだろうけれど文学座を目指したらいいよ」と。
――「あの名門校に入ったら許してやる」みたいな話だったんですか?
そうです。文学座は“演劇界の東大”と言われているような敷居の高いところでしたから、そこに入れたらお父さんは何も言わないよ、みたいな感じで。私は実はその頃、文学座のことをまったく知らなかったんですけど、「分かったよ、じゃあ文学座一本だけ受けるわ、そこに受かったら文句言わないでよ」と。それで慌てて文学座のことを調べたら、すごい劇団で「やばい! やばい!」って思いましたね(笑)。ちょうどアトリエで公演をやっていて、研修生の発表会もあったので、両方観に行きました。特に研修生の発表会が、本当に自分とほんのちょっとしか年齢が変わらない人たちなのに、ものすごく面白い。感動して、ここに入ったらこれくらいお芝居が上手になれるんだって思ったんですね。もう「絶対にここに入る!」と思い、受験しました。
――90年代の後半でも、小劇場系は変わらず勢いがあったと思うんですが、そちらに入りたいとは思わなかったんですか?
希望は文学座ひとつ、でしたね。小劇場も観ていました。中でも、当時は「善人会議」という名前でしたが、「劇団扉座」が大好きな劇団で。中学生の頃から下北沢の劇場、ザ・スズナリで出待ちしたりしていました。小劇場という世界にも憧れはあったんですけど、演劇研究所となると新劇団かなと。父の背中を見て厳しい世界であることもよく分かっていたので、とにかく基礎から時間をかけてしっかりと学びたいと思っていました。それで授業内容が充実している文学座を受けたんです。
――どんな試験だったんでしょうか?
筆記試験がありました。一般常識や時事問題、シェイクスピアの作品を下から選びなさいですとか。別に筆記が100点だったら受かるってわけでもないんですが。あとは面接と、当日にセリフを何行か渡されて、試験官の前で演じるんです。それが一次試験で、二次試験では他に来ている受験生とランダムでペアを組んで、会話劇をしたりとか、音楽に合わせて動いたり。歌もありましたね。
――それじゃあ、特に事前に準備できることってないんですね?
特に準備という準備はしませんでした。私の時は二次試験の台本は事前にもらった気はしますけど。倍率は結構高かったと思います。昼間部、夜間部で30人ずつ採るんですが、どちらも合わせて受験者は5、600人近くはいたと思います。

私が受けるもっと前の話ですけど、松田優作さんが「太陽にほえろ」(1972年から86年まで日本テレビ系列で放送された刑事ドラマ。松田はジーパン刑事として73年から74年に出演)に出られた後、渡辺徹さんが受験した時期は何千倍だったと聞いたことがあります。その時は上智大学が試験会場で、四ツ谷の駅から会場まで行列ができて、受験者の男性はみんな松田優作さんみたいな格好で、芝居も優作さんみたいだったって先輩から聞いたことがあります(笑)。

●文学座での大役、そして声の仕事が決まったとき父に言われた言葉とは?

――舞台で最初にやった大きい役は覚えていらっしゃいますか?
文学座に入って2回目の公演で、99年の『家路』という作品でした。文学座は研究所が3年間あるんです。1年目を終えて、2年目に進むとき、60人から14人くらいまでに絞られるんですね。それから研修科に入って2年間。その2年目の時に、もうお亡くなりになった加藤武さんの娘役に抜擢されました。この時に加藤さんにはすごくお世話になりました。「ここはもっとこうした方がいい、ああした方がいい」と、毎日厳しく指導されまして。稽古場が信濃町にあるんですけど、新宿で総武線に乗り換えて、代々木駅辺りでお腹が痛くなるんです。また今日も怒られる……って。それくらい厳しかったんですけど、加藤さんが本当にすごいと思ったのが、本番が始まってからも毎日、ずっと舞台袖で私のシーンを見ていらっしゃるんですよ。それがある日、本番中にパッと袖にいる加藤さんを見たら、私に向かって両腕で大きな“マル”を作ってくれたんです。私、楽屋に戻った途端にぶわーっと涙が出まして、いま思い出しても泣けてきちゃうんですけど、ちゃんと自分が指導した後輩に関しては最後まで面倒見るっていうんでしょうか。厳しいことは言うけど、ちゃんとできた時にはきちんと伝えてくださって。

終演後、楽屋に行ってご挨拶したら、「佐古君、今日のあれはよかったよ、がんばんなさい」って言っていただけて、その後も、時々アドバイスいただきましたけど、あの時の袖でマルってしてくださった姿は忘れられないです。
――当時の公演はお父様はご覧になっていたんですか?
『家路』はギリギリ観てたのかな? 父は当時闘病生活に入ってしまったので、ちゃんと観たのは初舞台から4、5本くらいだと思います。
――声の仕事もされるようになって、お父様から何かアドバイスはありましたか?
それがないんですよ。そういう話をするより前に父が亡くなってしまいましたから。ただ覚えてるのは、父に「声の仕事が来たよ」という話を電話でした時に、「まだ早い」って言われたんですよね。「まだお芝居の基礎もできてないのに、声の仕事に行くのはとても危険だから、できたつもりにならないようにしなさいよ」って。その意味は今だとよく分かりますね。言葉は悪いですけど、声の仕事ってちょっと簡単に見えたりするんです。それっぽくしゃべることで、自分はできると勘違いしてしまう落とし穴があるというか。ちゃんと“自分”というものも確立してない、“お芝居”が何だということも分かってないうちに、器用にこなすことを覚えてしまうのを、父はすごく恐れていたんだろうなと思います。声の仕事は簡単ではない、厳しい世界なんだよって伝えたかったのだと。

私も父も、声優としての訓練を受けてはいないんです。まったく知らずに入ったので、父も随分厳しく言われたようです。

●泣きながら帰った初めての声の現場──だが、「二度目」があった!

――最初に来た声のお仕事は、文学座経由だったのでしょうか?
そうです。NHK教育テレビで放送された「シナリオライターは君だ!」というカナダの30分の海外ドラマでした。そこでいきなりゲスト主役みたいな役どころをいただきまして……。VHSテープと台本を渡されて……でも、どうしていいか分からないんですよ(笑)。ビデオを観て、台本を見て、ああ、私の役はこれだっていうのは分かるんですけど、どうやってお稽古したらいいのかが分からない。

一応父に報告だけはしたわけですけど、ヒントでも教えてもらいたいと思ってたのに「まだ早い」と言われてカチンときまして(笑)、「じゃあ、もういいよ、自力でやったるわ!」みたいな気持ちになったんです。今だったら「ぜひ教えてください」ってお願いすると思うんですけど(笑)。実際に台本を見てみたら、特殊な用語や記号がいろいろ書いてあってよく分からない。「ME(Music Effect/音楽と効果音)」とか「SE(Sound Effect/効果音)」っていう言葉も全く知らなかったんです。

その現場には文学座の先輩は誰もいなくて。当時はヘッドホンもワイヤレスじゃなくて、有線で繋がっていたんですね。それを順番に使うことも分からないから、着けたまんまで、自分がセリフを言ったあともマイクの前に立ちっぱなし。背中をトントンと叩かれて、「え、なんですか?」みたいな状態でした(笑)。しゃべり終わったら、そのヘッドホンを戻して、あなたはお席に戻りなさいみたいなことも、その時にいらっしゃった他の劇団の先輩に全部教えていただいたんです。

テストと本番では同じマイクでしゃべらないといけないってことも知りませんでしたし、他の人たちに大変なご迷惑をお掛けしてしまった、きっと普段の収録より倍くらい時間が掛かったんじゃないかというのが、空気で伝わってきました。収録が終わった後は、情けなさ過ぎて呆然として帰りました。神楽坂のスタジオだったんですが、坂を下りていって飯田橋の駅が見えた瞬間に悔しくてぶわーっと涙が出てきました。もう仕事はない、私、文学座にも恥をかかせてしまった……って、そこから自分の家までずっとしくしくしくしく泣きながら帰ったのを覚えてます。声の仕事はもう二度とないなって。
――でも、二度目があったわけですよね(笑)。
そうなんです、不思議なことに。いまだにそう思います(笑)。NHK教育テレビの「ふたりはお年ごろ」(米ABC製作のシットコム、日本では02年に放送)という番組で、いきなり「フルハウス」(93年から97年までNHK教育テレビで放送されて人気を博した)のメアリー=ケイト・オルセンの役でした。双子のもうひとりを演じたのが坂本真綾ちゃんで、お父さん役が堀内賢雄さんで、お母さん役が山像かおりさん、お手伝いさん役が岩崎ひろしさんというものすごい豪華な顔ぶれでした。ビビりました。唯一、山像さんが文学座の先輩でホッとしたところではあったんですけど、当時NHKにいらっしゃった名物のプロデューサーさんから毎回怒られていましたね。「ド下手、クソ下手、やめちまえ、クニに帰れ」って。クニって言われても実家は東京ですから、わりとすぐに帰れちゃうんですけど。最初の頃は、毎回収録の後に呼び出されて、録り直しだったり、とにかく怒られて。その時は逆に「クッソー!」と思って「クニには絶対に帰らない!」って(笑)。いま思えば本当にヘタクソで、本当にひどかったので、あのデータが残っているのであれば誰かに削除してもらいたいです。私がリスベット(『ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女』のヒロイン)みたいなハッカーだったら、初期の作品は全部消してますよ。それか、自分のセリフだけやり直して勝手に編集します(笑)。
――声のお仕事でご自身の転機になった作品は何でしょうか?
特定の作品というより、主軸の役が多くなってきた時ですかね。あと、フィックスではないですが、今回のノオミ・ラパスさんもそうですし、一度やった女優さんのお話がまた来るようになって、少しは自信を持っていいのかなと思いましたね。ということは……わりと最近の話ですね(笑)。

●ノオミ・ラパス、エマ・ストーンほか演じてきた女優について

――ノオミ・ラパスなら佐古さん、とイメージづくようになったとはいえ、彼女は作品ごとに印象がまったく変わる女優さんだと思うんですが、同じ人を演じ続けるやりやすさってあるんでしょうか?
ノオミ・ラパスさんもそうですし、レイチェル・マクアダムスさん、スカーレット・ヨハンソンさん、エマ・ストーンさんも、作品ごとに役回りが本当に全部違いますね。最近エマ・ストーンさんの「マニアック」というNetflixのドラマをやったんですけど、ちょっと不思議な作品で、彼女は1話ずつ全部違う女性を演じているんです。毎回、声色も違いますし、表情も違う。みなさんすごいなあって、本当にいつも思うんですよ。レイチェル・マクアダムスさんのコメディエンヌの才能もすごいですし、心に傷を負った繊細な役も演じていて。

ノオミ・ラパスさんを最初に担当したのは『ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女』で、『プロメテウス』もそうですけど、その後にやった役がどれも全然違っています。その演技に追いつきたくて、作品はものすごく時間をかけて観ます。
――例えばエマ・ストーンだと、演技のキャリアとしては佐古さんの方が長いわけじゃないですか。そうなると「若い子が出てきた」っていう風に見えるわけではないんですか?
いえ、年齢やキャリアは関係ないですね。最近も『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』で、彼女を吹替えましたが、70年代の実在のプロテニス選手役で、素晴らしい演技でした。あとトーニャ・ハーディングの伝記映画『アイ,トーニャ』もやらせていただきましたが、あのマーゴット・ロビーさんもすごい。彼女も、年齢だけでいえば私よりもずっと下なんですけど、もう「すごいなあ!」しか出てこないです。
――いま挙がっている名前の方々って、現在のハリウッドを代表するトップ・スターばかりですよね。
そうなんです、だから畏れ多いんです(笑)。そんな人たちを演じることで、毎回持ち帰るものもすごく多いんですけど、ただ、それをちゃんと体現、表現できているかどうかは……。

●吹替とアニメの違い、そして吹替ならではの魅力とは?

――その中で、特に手応えを感じた女優さんや作品を教えてもらってもいいでしょうか?
レイチェル・マクアダムスさんの『恋とニュースのつくり方』という作品があって、ラブ・コメディだったんですけど「コミカルな芝居って楽しい!」と思うきっかけになりました。最近、舞台でもコミカルな役を演じることが多くなってきたんですが、この作品でコメディの楽しさに目覚めました。難しいんですけど、彼女もすごくキュートで、表情やアクションが豊かで、そこに近づけていく作業はやっていてすごく楽しかったですね。
――声のお仕事の時は、まずは女優さんの原語のお芝居に近づけていく作業になるんでしょうか?
はい。とにかく私は、向こうの役者さんと息を合わせる、リンクするということに重点を置いています。作品も何度も観ますし、声のトーン、顔の表情だけじゃなく、息づかいも忠実にやりたいんです。そこにちょっと欲を出すなら、“佐古真弓ならではの芝居”も入れていければ、と。
――吹替の仕事はアニメとはまったく違う感覚ですか?
大きく違うのは、収録する時に音があるかないかですよね。アニメの現場に行くと、“無音”の状態にものすごく緊張します。吹替だと必ず先に音があるから、音を頼りにするところがあるんです。あの音のない状態を、緊張せずに、リラックスして、作品作りに参加できるところまで行きたいなと思っています。それも今後の課題のひとつです。
――では吹替ならではの面白さ、魅力ってなんでしょうか?
小さい頃から、夕方に「特攻野郎Aチーム」や「ナイトライダー」(ともに米NBC製作のアクション・ドラマ。日本では前者は85年から、後者は87年からテレビ朝日系列で放送)の再放送を観てたんですよね。特に「特攻野郎Aチーム」は母親がすごく好きで、一緒に観ていた覚えがあります。あのテーマ曲を聞くとウズウズします(笑)。でもその時って、「この外人さん、日本語上手だな」と思っていました。それと「刑事コロンボ」(米NBC、ABCで放送された推理ドラマ。日本では72年のNHK放送を皮切りに、日本テレビ「水曜ロードショー」「金曜ロードショー」等で放送)を字幕で観た時に、やっぱり私の中ではコロンボは小池朝雄さんか石田太郎さんの声でしたから、違和感がありました。本物よりも本物らしく見える、感じる。そこが吹替版の魅力のひとつではないでしょうか。

※このインタビューの続きは、2019年4月26日エイリアン・デーに発売の『プロメテウス<日本語吹替完声版>3枚組 コレクターズ・ブルーレイBOX〔初回生産限定〕』商品内に封入されているインタビュー集でお楽しみください!
(2018年12月6日/於:東北新社/取材・文:村山 章/協力:東北新社、フィールドワークス)

佐古 真弓(さこ まゆみ)【プロフィール】

1978年1月13日東京都出身。フクダ&Co. 所属。高校卒業後1997年に文学座研究所に入所し、2002年に文学座の座員となる(17年に退団)。文学座在籍時に声優デビューを果たし、02年のNHK教育テレビ放送のシットコム「ふたりはお年ごろ」でメアリー=ケイト・オルセンを担当。洋画吹替では、スカーレット・ヨハンソン(『アイアンマン2』『幸せへのキセキ』『LUCY/ルーシー』)、ノオミ・ラパス(『ミレニアム』シリーズ、『チャイルド44/森に消えた子供たち』)、ジェシカ・チャステイン(『ゼロ・ダーク・サーティ』『女神の見えざる手』『モリーズ・ゲーム』)など、数多くの主演女優を担当。『デッドプール2』ドミノ役(ザジー・ビーツ)、PS4ゲーム「Detroit: Become Human」(ヒロイン・カーラ役)、「鬼武者」(ヘキュバ役)、アニメ「金田一少年の事件簿R」「Go!プリンセスプリキュア」などに出演。父は俳優の佐古正人。

解説&ストーリー

1997年製作の『エイリアン4』で一旦の終息を見せた『エイリアン』シリーズ。スピンオフ作品『エイリアンVS. プレデター』(02)、『AVP2 エイリアンズVS. プレデター』(07)を経て、シリーズ最新作として企画されたのが本作だ。SF映画の金字塔のひとつと称される第1作を手掛けたリドリー・スコットが再びメガホンを執り、当初の「『エイリアン』の前日譚」という構想を超えて、エイリアンの原点、そして人類の起源に迫ろうとする壮大なSFアクション作となった(次作は2017年の『エイリアン:コヴェナント』)。全米では累計興収約1億2,647万ドルを叩き出し、第1作を超えるシリーズ最高のヒット。日本でも興収18億円を記録した。今回の「日本語吹替完声版 3枚組 コレクターズ・ブルーレイBOX」では、ソフト版に加えて、「ザ・シネマ」版の吹替音声をソフト初収録。吹替の帝王版、通常版、特典版のブルーレイ・ディスク3枚に加えて、「ザ・シネマ」版の吹替台本(復刻・縮刷)、インタビュー集がセットされたアイテムとなっている。

吹替版のポイント

日本語吹替版が劇場公開されることが多くなり、さらには地上波ゴールデンタイムでの洋画放送が減少した昨今、テレビ放送のタイミングで新たな吹替版が制作されることは、極めて希なケースと言えるだろう。そんな中で制作されたのが、BS、ケーブルテレビ等で視聴できる有料洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」で2017年12月に放送された「ザ・シネマ」版吹替。担当プロデューサーの熱い思い入れのたまものだが、ノオミ・ラパスに佐古真弓、マイケル・ファスベンダーに宮本充、シャーリーズ・セロンに本田貴子というお馴染みのキャスティングは、吹替ファンを大いに賑わせた。発表時は「今後のソフト化は未定」とされていただけに、待望のソフト初収録と言える。一方のソフト版吹替は、剛力彩芽が初の実写洋画吹替としてラパス役に挑戦。「ザ・シネマ」版と同じくファスベンダーを演じた宮本のほか、深見梨加(セロン)、楠大典(イドリス・エルバ)、納谷六朗(ガイ・ピアース)、藤原啓治(ショーン・ハリス)らベテランが脇を固める布陣となっている。

新着情報
外国映画を吹替え版でより楽しんで頂くためのサイトが誕生!吹替え専門サイト ふきカエル大作戦!!
  • L.A.コンフィデンシャル製作20周年記念版
  • 「コマンドー」アンコール発売
  • ヒート
  • エイリアン2
  • ID4
  • X-ファイル
  • ウェイワード・パインズ 出口のない街
  • ダイ・ハード/ラスト・デイ

新着情報

2019.4.5「プロメテウス」佐古真弓インタビューを追加しました。

2019.3.5「エイリアン4」高乃 麗インタビューを追加しました。

2019.2.5「エイリアン3」吉田理保子インタビューを追加しました。

2018.12.5「プレデター2」大塚芳忠インタビューを追加しました。

2018.11.5「Mr.&Mrs.スミス」堀内賢雄インタビューを追加しました。

2018.10.5「ブレイブハート」日野由利加インタビューを追加しました。

2018.9.7「ポセイドン・アドベンチャー」羽佐間道夫インタビューを追加しました。

2017.12.20「劇場版 SPACE ADVENTURE コブラ <4K ULTRA HD>」榊原良子インタビューを追加しました。

2017.11.22「L.A.コンフィデンシャル」江原正士&伊達康将インタビューを追加しました。

2017.10.06「エイリアン2」田中秀幸インタビューを追加しました。

2017.09.22傑作吹替視聴室Vol.26:『猿の惑星』を追加しました。

2017.09.01「エイリアン2」鈴木弘子インタビューを追加しました。

2017.08.25傑作吹替視聴室Vol.25:『エイリアン』を追加しました。

2017.08.04「インデペンデンス・デイ」古川登志夫インタビューを追加しました。

2017.07.28傑作吹替視聴室Vol.24:『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を追加しました。

2017.07.03『インデペンデンス・デイ』山寺宏一インタビューを追加しました。

2017.06.23傑作吹替視聴室Vol.23:『シザーハンズ』を追加しました。

2017.05.26傑作吹替視聴室Vol.22:『LOGAN/ローガン』公開記念!を追加しました。

2017.04.28『ヒート 製作20周年記念版<2枚組>』菅生隆之【後編】インタビューを追加しました。

2017.03.31『ヒート 製作20周年記念版<2枚組>』菅生隆之【前編】インタビューを追加しました。

2017.02.24『ダイ・ハード/ラスト・デイ』樋浦勉インタビューを追加しました。

2017.01.27『サンズ・オブ・アナーキー』森川智之&五十嵐麗インタビュー【後編】を追加しました。

2017.01.06『サンズ・オブ・アナーキー』森川智之&五十嵐麗インタビュー【前編】を追加しました。

2016.12.22『ホーム・アローン』矢島晶子インタビューを追加しました。

2016.12.09『ホーム・アローン』折笠愛インタビューを追加しました。

2016.10.21『王様と私』壌晴彦インタビュー【後編】を追加しました。

2016.10.07『王様と私』壌晴彦インタビュー【前編】を追加しました。

2016.09.09『X-ファイル』戸田恵子インタビューを追加しました。

2016.08.19『ターミネーター』小山力也インタビューを追加しました。

2016.08.12『ターミネーター』大友龍三郎インタビューを追加しました。

2016.07.22『マイノリティ・リポート』佐藤拓也【後編】インタビューを追加しました。

2016.07.08『マイノリティ・リポート』佐藤拓也インタビューを追加しました。

2016.06.24『コマンドー』若本規夫インタビューを追加しました。

2016.06.10傑作吹替視聴室Vol.21:吹替の名盤特集第四弾を追加しました。

2016.05.27『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』小杉十郎太&相沢恵子&春日一伸インタビューを追加しました。

2016.05.13『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』福永莞爾&平田勝茂インタビューを追加しました。

2016.04.15傑作吹替視聴室Vol.20:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第3弾を追加しました。

2016.04.01傑作吹替視聴室Vol.19:吹替の名盤特集第三弾を追加しました。

2016.03.18傑作吹替視聴室Vol.18:吹替の名盤特集第二弾を追加しました。

2016.02.29傑作吹替視聴室Vol.17:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第2弾を追加しました。

2016.01.29傑作吹替視聴室Vol.16:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集を追加しました。

2015.12.04『ウェイワード・パインズ 出口のない街』津田健次郎インタビューを追加しました。

2015.11.13『glee/グリー』坂本真綾&早川陽一インタビューを追加しました。

2015.11.12傑作吹替視聴室Vol.15:吹替の名盤特集第1弾を追加しました。

2015.10.16『Fargo/ファーゴ』森川智之インタビューを追加しました。

2015.09.30『コマンドー』玄田哲章&土井美加インタビューを追加しました。

2015.08.14『エイリアン』大塚明夫インタビューを追加しました。

2015.08.14『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』田中敦子インタビュー第1弾を追加しました。

2015.07.14『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビュー第3弾を追加しました。

2015.07.19『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビュー第2弾を追加しました。

2015.06.30吹替の帝王『エイリアン』幸田直子インタビューを追加しました。

2015.06.30『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビューを追加しました。

2015.06.30吹替の帝王 公式サイトをリニューアルオープンしました!

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吹替の帝王シリーズ

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