キミは日本語吹替の魅力を知っているか?実力派声優が魅せる【吹替】の真実を堪能せよ!

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INTERVIEW #64 フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」版 ウィノナ・ライダー〈コール〉役  高乃 麗 インタビュー

人類が初めて凶悪なエイリアンに遭遇した惑星「LV-426」にちなんで制定された“エイリアンの日”=4月26日に、「吹替の帝王」シリーズ最新作として同時発売されるのが、『エイリアン3<日本語吹替完全版>2枚組 コレクターズ・ブルーレイBOX』『エイリアン4<日本語吹替完全版>2枚組 コレクターズ・ブルーレイBOX』『プロメテウス<日本語吹替完全版>3枚組 コレクターズ・ブルーレイBOX』の3ボックス。前回の吉田理保子に続き、今回は『エイリアン4』で、フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」版日本語吹替音声(ソフト初収録)のウィノナ・ライダー(コール役)を担当した高乃 麗のスペシャル・インタビューをお届け! 『ハリー・ポッター』シリーズのヘレナ・ボナム=カーター(ベラトリックス・レストレンジ役)の吹替えでも知られる実力派であると同時に、声優マネジメント事務所を率いる社長でもある彼女が、波乱に満ちたキャリアを振り返った。

●下手したら吹替版の方が面白い? 耳の肥えた熱心なファンに感謝


──今回は高乃さんがウィノナ・ライダーを担当された『エイリアン4』の吹替版が、初めてソフト化されることになりました。「TV版の吹替えで、またあの作品を観たい」という熱心なファンが多くいらっしゃるという状況はご存知でしたか?
もう20年近く前に録った作品なんですね。変な話ですけど、最近、顔出しのタレントさんを起用した吹替版が批判されることが多いじゃないですか。本当に吹替がお好きな方たちは、ただ知名度をある人を呼べばいいというわけじゃない。キャスティングする側がちゃんと気をつけないと炎上するぞ、なんて話が、飲み会の席でチラホラ出るんですね。そういうファンの方たちがいてくださるんですね。ありがたいことです。
──特に最近は、リップシンク(唇の動きとの同調)がより求められるというか、作品によっては翻訳した吹替版を本国の権利元が確認したりもするそうですね。翻訳・吹替の自由度が高かったというのもあって、昔の吹替版の方が面白いと感じる方が多いんです。
そういう吹替版なら、確かに私だって観たいです(笑)。広川太一郎さんや愛川欽也さんがやっていらっしゃった頃は、口が開いていないところでもセリフが入ってましたよね。字幕版じゃなくて、下手したら日本語版の方が面白い。それならそっちを観たくなります。ただ、それは本国の製作者からすると、「作品の本質が変わっている」ということになるんでしょうけど。
──逆に、吹替のおかげで面白さが水増しされてる作品もあったり(笑)。
そうですよね、そんな効果もあると思いますけどね(笑)。

●興味を持ったことは全部やりたい! お調子者だった子供時代


──作品についてもそうですが、「吹替の帝王」ではご自身のことについても、子供時代から詳しくお訊きするのが恒例なんです。
生年月日は1961年8月16日です。千葉県の東金市出身ですね。

思いついたまま、子供時代のことをお話しすると……ふと思い浮かんだのは、父と母のどちらも教師だったということです。ふたりはハタチになるかならないかくらいから、定年までずっと教育に従事してきまして、まだ教師が“聖職”と呼ばれていた時代ですよね。昭和の時代の、家が貧しくてお弁当が作れないとか、学校で給食費が払えないとか、そういう問題があった頃です。当時は、学校が終わって家に帰っても、誰もいなくて気遣ってもらえないような子たちがたくさんいたと思うんですね。そんな子供たちにとっては父と母が学校では親代わりで、そういえばふたりは、みんなを笑顔にしたい、楽しませたいと考えて色々やってきていたな……と、本当についさっき(笑)、思い出しました。

父はマペットをいつも持ち歩いていて、「オハヨ~」って話したりしていたんですね。校長を務めていたんですが、ちゃんと腹話術を習って、家でもストローを咥えてしゃべる練習も間近で見ていて。父のマペットとユニットを組んで、漫才をやったこともありましたね。そんな、人を楽しませる、笑わせることはなんて素敵なんだろうと、小さい頃から両親に刷り込まれてきたんだなと思い当たりました。そういう子供時代だったと思います。

門扉を外したら穴が開いていて、そこに指を入れたらどうなるんだろう?と指を入れたら、そのまま抜けなくなって、日がな1日ずっと佇んでいたりとか、ゴムホースで身体を吊るしたら宇宙遊泳できるかな?と実際にやってみたりとか、子供ならみんなやると思うんですが、『メリー・ポピンズ』みたいに傘を持ってたら宙に浮かべるかなって2階から飛び降りたりとか(笑)、度が過ぎてやらかしちゃったこともたくさんありましたね。典型的なお調子者だったと思います(爆笑)。
──アニメで演じられてきたわんぱくなキャラとご本人がすごく重なりますが(笑)。
アニメでも洋画でもそうですが、自分の色んな面が濃縮された人物像になっていくので、演じてみて初めて、自分はこういう風に感じるんだ、こういう面があるんだと気づかされることが多いですね。
──ご両親の影響もあると思いますが、気になったことは何でもやってみないと気が済まない、みんなを楽しませたいというのがあったんですね、町内でもガキ大将みたいだったとか。
そうですね、「散らかしたものは片付けないとお家に帰さないよ!」とかリーダーぶって。クリスマスには、クリスチャンでもないのに、聖書なんて読んじゃったり。「祈りなさい」とか言っちゃって、本当にお調子者でしたね(笑)。
──小中学校では合唱部に所属されていたそうですが、同時に陸上部やバスケット部にも在籍していたんですね。常に運動と文化系の両方のジャンルをされているのが驚きです。
何もかもやるのが好きで、掛け持ちできるなら興味を持ったことは全部やりたい……って、それは今の仕事の面でもそうですね。ずっとそんな感じです。面白そうなことをやっている人を見ると、とにかく羨ましくなるんです。やってみたい!という好奇心が原動力ですよね。

●作家と歌手を夢見た少女は、海外留学も──英才教育は兄のおかげ?


──子供の頃の夢は何だったんでしょうか?
作家と歌手って……これもジャンルを1つに絞ってないですね。表に立つことも、裏方も両方やってみたいんですよね。どちらも本当に憧れで。小っちゃい時に書いた作文が賞を獲ったんですけど、ほら、そこはお調子者ですから、これはプロとしていけるんじゃないかと(笑)。千葉県全域の小学校の学力テストの問題に使っていただいたり、NHKの方が取材にいらして、ラジオで流すからと作文を朗読させてもらったり、かなり有頂天でしたね。ただ者じゃないな私、と思ってましたね(笑)。
──作文は、どんなお話だったんでしょうか?
常に動物を飼っている環境だったので、生き物との関わりの話でしたね。祖母が動物嫌いでペットを飼えないから、拾ってきたイヌを裏庭に隠して、夕飯の残りをお腹の中に隠して持って行ってあげたり、夜中に2階の窓から抜け出して様子を見に行ったりですとか。何本も連作で書きました。

小学校6年生の時に書いたのは、父と一緒に竹ひごで凧を作ったエピソードです。作った凧を海に上げに行くんですが、その日はとても良い天気で風が強くて、糸の切れた凧がそのまま空に消えていったんです。苦労して作った凧を失うのは悲しかったんですけど、大空で自由になって夢が広がったねと、父が言ったというような話です。誰かとの間に育まれた愛情みたいなものを、想像も加えて膨らませていたと思います。
──着想が大人っぽいですね。ところで高乃さんには、お兄さんとお姉さんがいらっしゃいますね。
私、本名は「久子」というんですが、上とはかなり歳が離れていて、それで久しぶりに生まれてきたから久子っていうんです。いい加減な父と母ですよねえ。兄とは13歳違いで、姉とは9つ違いですから、父も母もびっくりしたと思いますね。

兄姉との仲は、すごく良かった時期と良くなかった時期があるんですが、兄も姉も私が物心ついた時にはもう大人でしたから、特に兄には「今後の社会を見据えて勉強していかないとダメだ」「○○に興味を持った方がいい」と色々言われましたね。「これからは英語が大事」と言われて、英語なんて何にも分からないのに「それでもいいから、ただとりあえず聴きなさい」と、当時流行っていたリンガフォンという英語の音声教材を渡されたり。その次には「これから大事なのはディベートだ」と言われて、ちょっとした言い合いになった時に「じゃあチャコ(久子の愛称)がそういう考えなら、僕はその反対の立場になるから」と言われて、ふたりで討論を繰り広げたり。いつの間にか兄の話のペースに巻き込まれて、「ほら、チャコは正しくないでしょ?」と納得させられてしまうんですね。つまり正しいと思われていることでも、見かけと違うことはたくさんあって、それはディベートの力でどちらにも転ぶんだと、世の中はそういうことで成り立ってるんだって教えてくれたわけなんですが。

兄が私の先生みたいでしたね、小学校に上がる前から色々と言われて。コーヒーの淹れ方も教えられて、「チャコ、コーヒー」「チャコ、新聞」って、奴隷のようにこき使われていましたね。

姉は、兄とは真逆で、よく学校をサボって遊びに行ってしまうタイプの人でした。今なら、ギャル系になってたんじゃないかと思います。父と母に強く反発していて。でも彼女もすごくクリエイティブな人で、自分が両親に構ってもらえなかった分、編み物やお花を生けることに面白さを見つけて、今は編み物の先生になってしまいました。

教師の子供って、親は他の子供たちのことで忙しいから、あんまり構ってもらえないんですね。そういう環境が、私たちの想像力を育んだのかもしれないです。その間に、兄が色々刷り込んできたんだと思いますね。
──その英才教育(?)のおかげで、海外に留学もされているんですね。
それは、兄の影響が大きかったと思いますね。
──中学校、高校はずっと地元だったんですか?
暮らしていたのは田舎なものですから、そのまま地元の高校に進んでも、小・中学校と顔ぶれが変わらないんですよね。私は冒険をしたかったので、高校は自分ひとりで学校を探して、寮のある横浜の山手学院に勝手に受験して行くことにしたんです。

今は結構な進学校になりましたけど、当時は海外留学が盛んで、生徒の半分くらいは外国人の方だったと思います。どんな人でも受け入れるという学院長の方針で、すごく悪そうな突っ張った人や、ワケありで留年してもう20代という人もクラスにいたり、お化粧もパーマもピアスもOKで、あまりにも自由でした。
──高校生活の途中で、オーストラリアに転校されたんですね。
そもそも留学のシステムがあったんですね、キャンベラへ交換留学に送ってくれるという話で。それで向こうに行ったら行ったで、性格の話に繋がるんですが、やっぱり何でもやりたいと。単なる留学生と、留学先の普通の生徒では、授業のカリキュラムが全然違うんですね。だから転校という手続きを取って、この学校の生徒と同じ立場にして欲しいと訴えて。校長先生と向こうの教育委員会、そしてホスト・ファミリーの人たちに交渉していただいて、現地の生徒と同じ授業を取れるようになりました。向こうの高校を卒業したという形になったんですよね。
──自ら切り拓いた!
でも、キャンベラでは問題になったみたいで、私の後からは、そういうシステムは一切認めないことになったようです。そういう意味ではすごくラッキーでした。私以外では、転校して向こうで卒業するなんてパターンの方はいないんです。2年しか行っていなかった日本の高校も、オーストラリアでの1年分を足して、3年間通ったのと同じに考えてもらうのも交渉して、ちゃんと卒業させていただきました。

●文学座に加えて劇団四季にも合格! しかし、20代半ばで挫折……

──帰国されたあとは、美術大学に進まれるわけですが、それまでに演技の世界に入りたいという希望はあったんですか?
あんまり持ってなかったですね。演技よりは、音楽をやりたかったんです。高校では音楽をやっていましたし、何かできないかなと思っていました。ただ、ずっと散漫で、漠然としていたんです。あれもやりたいこれもやりたいと、定まっていなかったんですよね。オリンピックに出る選手みたいに、小さい頃からひとつのことに集中できていたら、もっと極めることができたのかもしれないですけど。美大には入りましたけど、私がいたのは評論や研究をしていくような学部で、民族学みたいなことをやってみたかったり、民話を集めてみたかったりとか、知りたいことがたくさんあって、やっぱりひとつには定まらない。結局大学もほぼ行かないまま辞めてしまって、そんな頃にお芝居をやっている方たちと出会ったんですね。こういう生き方もあるんだなと影響を受けて、文学座を受けるに至りました。
──そうして演技の道に入られたわけですが、俳優といえば、顔出しで舞台を踏むというイメージですよね。声の仕事は意識されていましたか?
その頃は舞台のお芝居に惹かれていた時期でしたから、そういう声の仕事があるとは全然意識していなかったです。私の同期は、声優で活躍している方や、顔出しで映画やドラマに行った方も本当にたくさんいた期なんですね。その分何も知らない人が本当に多かった期でもあって、文学座に入ったのに、半分くらいの人が杉村春子さん(文学座創立メンバーのひとりで、日本を代表するカリスマ女優)を知らなかったという……。私も、その知らなかった側の人間なんですけど、芝居の「し」の字も知らないで、よくぞまあ文学座に入れたものだと思います。きっと興味本位で入れてくださったんでしょうね。
──その頃の文学座はもう、かなりメジャーな劇団となっていたでしょうから、本当にお芝居が好きな方じゃないと、歴史までは分かっていなかったでしょうね。
渡辺徹さんや松田優作さん、桃井かおりさんや田中裕子さんといった顔出しの方たちがみんなすごい、キラキラしてていた劇団でしたよね。それで私はその時に、まったく踊れないくせに大変お恥ずかしい話なんですが、劇団四季も受けさせていただいていて、そちらも偶然受かっていまして(苦笑)。
──すごいじゃないですか!
その時はきっと何か面白いと思っていただけるものがあったんでしょうねえ……分かりませんけど、大きな力が(笑)。ただ、それから後がね……。文学座にも残ることができなくて、ああ、やっぱり才能はないんだなと気がついて、20代中盤以降はそのまま転落していくんです。
──お芝居はその時一度諦めて、普通に会社員をされたんですね。
そうですね、1年ほど会社勤めをしましたが、やっぱりお芝居をやりたくて。雑誌に載っていた講座に申し込んだのがきっかけだったんですが、野村道子さん(故・内海賢二の妻で、「サザエさん」の二代目ワカメ役、テレビ朝日版「ドラえもん」の初代しずか役で知られる)と出会ったことで、やっぱりお芝居って面白いんだなあって思いました。それが声優という仕事との出会いだったかもしれないです。道子さんにお会いしてなかったら、声優になっていなかったと思いますし、内海賢二さんみたいな方と出会えたからこそ、声の仕事と舞台のどちらもやっていく考え方に触れることができたと思います。道子さんと内海さんのおふたりには、足を向けて寝られないです。

●野村道子&内海賢二夫妻との出会いで声優デビューを果たすも……

──声優デビュー作は、アニメの「がんばれ!キッカーズ」(1986年から87年に日本テレビ系で放送されたサッカー・アニメ)ですね。初めての現場のことは覚えていらっしゃいますか?
こんなことを話してしまっていいのかはばかられるのですが……まだ、作品に参加することの大事さが分かってなかったですね。

私は男の子役で、主人公が所属するサッカー・チームのメンバーのひとりだったんですが、「セリフはひと言しかないじゃないか」「登場はするけど、ほぼしゃべってないじゃないか」って、セリフの数ばかりを気にしていました。舞台だったら、自分がそこに立っているから、セリフがなくても作品に一緒に参加している実感があったのに、アニメではそれを感じることができなくて、たった一言のセリフを、当時はとても大事とは思えなかったんですね。

思えば、TARAKOさんだったり、伊倉一恵さんだったり、山田栄子さんだったり、そうそうたるメンバーがいらした中で、なんとなく私は違うなあ、声優の仕事は思っていたのと違うかもしれないなあって、斜に構えていて。ちょっと気取っていたんでしょうね。ですから、なかなか心を許し合える関係にはなれませんでした。
──お芝居自体や、画に声をアテる苦労はなかったんですか?
それが、内海さんと道子さんに事前にしっかり教えていただいたはずなのに、マイク前のマナーも、ガヤ(「その他大勢」でのざわめきや呟き)のやり方も、すっかり分からなくなってしまって、他の方を見て、こういう時にこういう風にしゃべればいいんだって、全部「キッカーズ」の現場で学んだ感じです。セリフは少なかったし、それなのに全然できなかったし、斜に構えてしまったのは、そこで苦手だと感じてしまったからかもしれませんね。
──そうした想いが払拭できて、皆さんの輪の中に入っていけたのはいつからなんでしょう? きっかけは何だったんですか?
ずいぶん長く掛かりましたね。「ジャングルブック・少年モーグリ」(ディズニー等で映画化もされたラドヤード・キップリングの同名小説を原作とした冒険アニメ。1989年から90年にテレビ東京系列で放送)で初めて主人公をやらせていただいたんですけど、番組が終わった時スタッフさんが「せっかく12チャンネル(テレビ東京)の夜7時のいい時間だったのに、ほとんど話題にも上らず、もてはやされることもなく、地味な作品でシリーズが終わってしまって本当に残念だった」とおっしゃっていて。それこそ、キャストは教育係の黒ヒョウ役の石丸博也さんがいて、キートン山田さんが大蛇のカー役で、矢島晶子さんが人間の彼女役だったり、兄弟役が中原茂さんで……って、とにかくすごいメンバーがたくさん出てたのに、それでも謙虚じゃなかったですね、私。

「もっと画を描いておいてくれなきゃ、表情分かんないよ」みたいな口ぶりで、よくお酒の席で、現場にマネージャーとして携わっていらしたたてかべ和也さんに「麗、そんなこと言っちゃいけない」って叱られたり、先輩の俳優さんに「お前は一体何者なんだ?」と怒られたりしました。でも、こっちも負けじと、言いたいことあるなら言えばいいじゃんって言い返して……本当に謙虚じゃなかったですね。

もちろん、悩んで辛かったこともたくさんありました。画のない中で自分がどう戦っていくか、作品の芯でいるということはどういうことなのか、主役としてどうスタジオを引っ張っていくべきなのか、それこそ、どういう生き方をするべきなのか。でも、優しい先輩も怖い先輩もどちらもいて、すごくサポートしていただけました。「ジャングルブック」で本当にたくさんのことを教えていただけましたね。

あと同じ頃で印象に残っているのが、スペシャルアニメだった「瞳の中の少年/15少年漂流記」(87年フジテレビ系列で放送)。オーディションでドノバン役をいただいたにも関わらず、私は収録前日までの舞台でノドを潰していて。「芝居っていうのは声でやるもんじゃないでしょ?」と、無神経に考えていたんですよね。おかげで、録音監督の藤野貞義さん(「機動戦士ガンダム」シリーズで知られる)からは「二度と使わない」ってすごく叱られましたが、「たったひとつ君を評価するとすれば、昨日までの芝居のせいだと言い訳しなかったことだ」とおっしゃっていただけて、その時、声優たるものは何なのかって、ハッとさせられましたね。

一緒に残ってくださって、叱ってくださる先輩がたくさんいらっしゃいました。徐々に、なるほどそういうものかと、道子さんと内海さんに機会をいただいて、現場で教えられたのかなと思います。すごく時間が掛かりましたね。遅かったですし、あらゆるやっちゃいけないことをやってしまいましたけど(爆笑)。

●自分であって自分じゃない、でも自分である──声優であることの面白みと難しさ

──アニメ作品が先行されていたと思いますが、初めて声をやられた実写作品は覚えていらっしゃいますか?
タイトルは覚えてないですが、山田悦司さんが演出を担当された作品で、その時は道子さんが現場を見に来てくださったんですよ。それで悦司さんに「どう? うちの一押しなんだけど」と話したら、悦司さんは「彼女の渇いた芝居は面白いね。こういうタイプはあんまりいないから、外画もできるよ」とおっしゃってくださって、道子さんが満面の笑みで「やれるってよ!」と教えてくださったのがすごく嬉しかったですね。

でも、オンエアを観たら……すぐにテレビを消しました。あまりにも下手で、「これが自分!? うわぁぁぁぁぁ!!」って。10年くらい後にまた放送されているのをたまたま観たんですが、もう真っ青になりましたね(爆笑)。

相変わらず下手でしたけど、ビギナーズ・ラックというか、悦司さんが「面白いね」と言ってくださった意味は分かる気がしました。上手くなると失われるものがあるんですよね、確かにその時は合わせるのは下手でしたけど、体当たりで必死にやるしかなかったからこそ出ている何かがあったような気がします。それはもう一度やれと言われても、今はできないことだと思いますね。
──アニメはアニメで難しいでしょうけど、洋画の場合は、すでに演じている向こう俳優の芝居があって、そこに合わせていく難しさがありますよね。
駆け出しの時は、アニメだろうが洋画だろうが、誰かの呼吸でしゃべらなくちゃいけないっていうのがいっぱいいっぱいでした。ここで息をしなくちゃいけないんだとか、ここじゃ息を吸っちゃいけないんだとか、もう自由にさせてよ!って。どうしても自分の芝居が先行してしまって、相手の芝居を見て、相手が何を伝えようとしているのか、アニメの場合だと、作画の人はこの画でどういうことを表現しようとしているのか、そういうことに意識が向かなくて、自分が自分がっていう気持ちだったんです。
──顔出しの俳優として舞台に立たれたり、歌もやられるなら、強い「自分」というものが必要でしょうし。
歌は、メロディと歌詞とリズムがあるという縛りはありますけど、表現自体は自由じゃないですか。声優という仕事、アテレコは、自分であって自分じゃない、自分じゃないんだけど自分であるというところが、面白みでもあるし、難しさでもあると思いますよね。

●念願のヘレナ・ボナム=カーター役は『ハリー・ポッター』でこうやって演じた!

──自分ではない人といえば、ヘレナ・ボナム=カーターやカーラ・グギーノ、クィーン・ラティファなど、キャラの強い女優を多く演じられてきた印象があります。やりやすかった方、やりにくかった方を教えていただけますか?
ヘレナ・ボナム=カーターは、本当にやりたかった女優さんです。『コープス・ブライド』の吹替をやりたくてオーディションを受けたんですが、それは文学座で同期の山像かおりさんに担当されていまい(苦笑)、悔し涙を飲んでいた時にいただいたのが、『ハリー・ポッター』シリーズなんです(同シリーズでボナム=カーターは第5作から最終作まで計4作にベラトリックス・レストレンジ役で出演)。絶対やらせてください!と臨んだ役でしたね。
──演じるのは難しいですか?
彼女は非常に音域の広い方で、すごく高い子供みたいな声から、地を這うようなすごい低音まで出されるので、その遊びがとてもあるんですね。あえて狙っていると思うんですが、ワザと変な節をつけて気持ち悪くセリフを回しているんです。日本語は英語と比べると、そこまで抑揚は付けないじゃないですか。そのさじ加減が難しかったですね。そのバランスは演出家の指示に従って、そこでOKが出れば、そのまま懐に飛び込む気持ち、どこまででも自由になれるつもりで作っていきたいと思っていました。やり過ぎてダメと言われたとしても、自分の想いはちゃんと言葉に行き届くようにしたいとも考えていて。

100%、自分でこの役はこうだと思い込んで現場に持ち込むと、演出家に「それは違う」と言われた時に、すべておじゃんになっちゃうんですね。作り込み過ぎると、現場で残念なことになることが多い仕事です。自分はこう思うけど、実際はこうくるかもしれない、ああなるかもしれないって、そこは柔軟に考えて、でもその中で芯になっているものは何なのかは理解しておく。相手の要求によって表現方法を変えられるようにして、収録に臨むということが大事なんです。
──収録現場を何度か拝見したことがありますが、一番始めのリハーサルで声を出された段階で、キャラクターのトーン、芝居の調子を声優と演出家の間で調整するじゃないですか。瞬時にして修正してしまう声優さんは、やっぱりすごいなと思うんですよね。
先輩方を見ていてすごいと感じますね。そのすごさが自分が駆け出しの頃は分からなかったので、すごいことが分かるようになったのが、我ながらすごいなと(笑)。自分で苦労して、できなくて、痛い思いをしたからこそなんです。自分もやったつもりでいるのに、オンエアを観ると、全然できてないじゃん!って(笑)。

※このインタビューの続きは、2019年4月26日エイリアン・デーに発売の『エイリアン4<日本語吹替完全版>2枚組 コレクターズ・ブルーレイBOX〔初回生産限定〕』商品内に封入されているインタビュー集でお楽しみください!
(2018年11月28日/於:東北新社/取材・文:村上健一/協力:東北新社、フィールドワークス)

高乃 麗(たかの うらら)【プロフィール】

1961年8月16日千葉県の金市出身。リマックス代表取締役社長。高校卒業後、美術大学中退を経て、文学座研究所に入所するも劇団員としては残れず、会社員に。約1年間のOL生活の後、芝居の世界に復帰、野村道子の講座をきっかけに賢プロダクション入りする。1986年TVアニメ「がんばれキッカーズ!」で声優デビュー。「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」などヒットアニメの主人公を歴任。同時期より洋画吹替にも関わり、テレビ朝日版『ナインハーフ』、旧ソフト版『エイリアン2』等に参加する。大ヒットドラマ「アリー my Love」では、エレイン(ジェーン・クラコウスキー)役を演じた。その他、『ハリー・ポッター』シリーズのヘレナ・ボナム=カーターをはじめ、『ブレイブ ワン』のジョディ・フォスターなどを担当。ナレーターとしても活躍するほか、ジャズシンガーとして楽曲も発表している。

解説&ストーリー

デイビッド・フィンチャー監督が手掛けた『エイリアン3』(92)から5年を経て登場したシリーズ第4弾。『デリカテッセン』(91)、『ロスト・チルドレン』(95)で注目されたフランス人監督、ジャン=ピエール・ジュネがハリウッドに招聘され、フェティッシュかつグロテスク、独特のビジュアル・センスに満ちた映像世界を展開(それまでの作品で共同監督を務めていたマルク・キャロは、数枚のデザイン画のみで参加。ジュネは今作の後、2001年に『アメリ』を発表している)。前作で溶鉱炉に身を投じたリプリーが、エイリアンのDNAも含んだクローンとして復活するという衝撃的な設定で、まさかの新作を誕生させた。全米では4,779万ドルの興行収入、日本では10億円の配給収入を記録。今回の「日本語吹替完全版 2枚組 コレクターズ・ブルーレイBOX」では、従来のソフト版に加えて、フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」版の吹替音声が初収録。吹替の帝王版ブルーレイに通常版ブルーレイを加えた2枚組セットで、シリーズ名物の吹替台本(フジテレビ版の復刻・縮刷)も封入される。

吹替版のポイント

フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」版がソフト初収録となったことが、最も大きなポイント。前作『エイリアン3』のフジテレビ版では吉田理保子がリプリー(シガーニー・ウィーバー)役を演じていたが、今作の制作時にはすでに声優業を引退していたため、それまでテレビ朝日「日曜洋画劇場」版でリプリーを演じてきた戸田恵子が起用された(その一方で、今作の「日曜洋画劇場」版吹替が作られていないのも面白い)。名演出家・春日正伸のもとに集ったのは、戸田を筆頭に、インタビューに登場したウィノナ・ライダー役・高乃のほか、ロン・パールマン役の内海賢二、若本規夫、宝亀克寿、手塚秀彰、石丸博也、日野由利加らそうそうたるメンバー。ライダーを演じることが多い日野(ソフト版では担当)が男勝りの役を演じ、逆に、タフな役回りが多かった高乃がライダーを演じるという、キャスティングの妙と声優のワザが楽しめる。もちろん、幸田直子、日野、大友龍三郎、二又一成、牛山茂、山路和弘らが名を連ねるソフト版吹替も高いクオリティだ。

新着情報
外国映画を吹替え版でより楽しんで頂くためのサイトが誕生!吹替え専門サイト ふきカエル大作戦!!
  • L.A.コンフィデンシャル製作20周年記念版
  • 「コマンドー」アンコール発売
  • ヒート
  • エイリアン2
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  • X-ファイル
  • ウェイワード・パインズ 出口のない街
  • ダイ・ハード/ラスト・デイ

新着情報

2019.3.5「エイリアン4」高乃 麗インタビューを追加しました。

2019.2.5「エイリアン3」吉田理保子インタビューを追加しました。

2018.12.5「プレデター2」大塚芳忠インタビューを追加しました。

2018.11.5「Mr.&Mrs.スミス」堀内賢雄インタビューを追加しました。

2018.10.5「ブレイブハート」日野由利加インタビューを追加しました。

2018.9.7「ポセイドン・アドベンチャー」羽佐間道夫インタビューを追加しました。

2017.12.20「劇場版 SPACE ADVENTURE コブラ <4K ULTRA HD>」榊原良子インタビューを追加しました。

2017.11.22「L.A.コンフィデンシャル」江原正士&伊達康将インタビューを追加しました。

2017.10.06「エイリアン2」田中秀幸インタビューを追加しました。

2017.09.22傑作吹替視聴室Vol.26:『猿の惑星』を追加しました。

2017.09.01「エイリアン2」鈴木弘子インタビューを追加しました。

2017.08.25傑作吹替視聴室Vol.25:『エイリアン』を追加しました。

2017.08.04「インデペンデンス・デイ」古川登志夫インタビューを追加しました。

2017.07.28傑作吹替視聴室Vol.24:『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を追加しました。

2017.07.03『インデペンデンス・デイ』山寺宏一インタビューを追加しました。

2017.06.23傑作吹替視聴室Vol.23:『シザーハンズ』を追加しました。

2017.05.26傑作吹替視聴室Vol.22:『LOGAN/ローガン』公開記念!を追加しました。

2017.04.28『ヒート 製作20周年記念版<2枚組>』菅生隆之【後編】インタビューを追加しました。

2017.03.31『ヒート 製作20周年記念版<2枚組>』菅生隆之【前編】インタビューを追加しました。

2017.02.24『ダイ・ハード/ラスト・デイ』樋浦勉インタビューを追加しました。

2017.01.27『サンズ・オブ・アナーキー』森川智之&五十嵐麗インタビュー【後編】を追加しました。

2017.01.06『サンズ・オブ・アナーキー』森川智之&五十嵐麗インタビュー【前編】を追加しました。

2016.12.22『ホーム・アローン』矢島晶子インタビューを追加しました。

2016.12.09『ホーム・アローン』折笠愛インタビューを追加しました。

2016.10.21『王様と私』壌晴彦インタビュー【後編】を追加しました。

2016.10.07『王様と私』壌晴彦インタビュー【前編】を追加しました。

2016.09.09『X-ファイル』戸田恵子インタビューを追加しました。

2016.08.19『ターミネーター』小山力也インタビューを追加しました。

2016.08.12『ターミネーター』大友龍三郎インタビューを追加しました。

2016.07.22『マイノリティ・リポート』佐藤拓也【後編】インタビューを追加しました。

2016.07.08『マイノリティ・リポート』佐藤拓也インタビューを追加しました。

2016.06.24『コマンドー』若本規夫インタビューを追加しました。

2016.06.10傑作吹替視聴室Vol.21:吹替の名盤特集第四弾を追加しました。

2016.05.27『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』小杉十郎太&相沢恵子&春日一伸インタビューを追加しました。

2016.05.13『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』福永莞爾&平田勝茂インタビューを追加しました。

2016.04.15傑作吹替視聴室Vol.20:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第3弾を追加しました。

2016.04.01傑作吹替視聴室Vol.19:吹替の名盤特集第三弾を追加しました。

2016.03.18傑作吹替視聴室Vol.18:吹替の名盤特集第二弾を追加しました。

2016.02.29傑作吹替視聴室Vol.17:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第2弾を追加しました。

2016.01.29傑作吹替視聴室Vol.16:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集を追加しました。

2015.12.04『ウェイワード・パインズ 出口のない街』津田健次郎インタビューを追加しました。

2015.11.13『glee/グリー』坂本真綾&早川陽一インタビューを追加しました。

2015.11.12傑作吹替視聴室Vol.15:吹替の名盤特集第1弾を追加しました。

2015.10.16『Fargo/ファーゴ』森川智之インタビューを追加しました。

2015.09.30『コマンドー』玄田哲章&土井美加インタビューを追加しました。

2015.08.14『エイリアン』大塚明夫インタビューを追加しました。

2015.08.14『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』田中敦子インタビュー第1弾を追加しました。

2015.07.14『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビュー第3弾を追加しました。

2015.07.19『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビュー第2弾を追加しました。

2015.06.30吹替の帝王『エイリアン』幸田直子インタビューを追加しました。

2015.06.30『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビューを追加しました。

2015.06.30吹替の帝王 公式サイトをリニューアルオープンしました!

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