キミは日本語吹替の魅力を知っているか?実力派声優が魅せる【吹替】の真実を堪能せよ!

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INTERVIEW #63 フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」版 シガニー・ウィーバー〈リプリー〉役 吉田理保子 インタビュー

『エイリアン<日本語吹替完全版>』『エイリアン2<日本語吹替完全版>』に続き、シリーズ第3作『エイリアン3』が、『エイリアン3<日本語吹替完全版>2枚組 コレクターズ・ブルーレイBOX』として、“エイリアンの日”である4月26日(人類が初めてエイリアンに遭遇した惑星「LV-426」にちなみ)に「吹替の帝王」シリーズに降臨する。今回のスペシャル・インタビューは、ソフト初収録となるフジテレビ「ゴールデン洋画劇場」版日本語吹替音声でシガニー・ウィーバー(リプリー役)を担当した吉田理保子が登場。「アルプスの少女ハイジ」のクララ役、「未来少年コナン」のモンスリー役といった人気アニメのほか、ウィーバー、シャロン・ストーン、リンダ・ハミルトンら大女優を担当しながらも、1998年に声優を引退していた“伝説”級の名優に訊いた!

●大作のヒロイン役を務めながらも98年に引退した“レジェンド”の取材が実現!


──本日は本当にありがとうございます。声優を引退されていらっしゃるので、取材は断わられるかと思っていました。
たまに、自分が演じた作品でこういう機会があるんです。そんな時だけ、こうして出てきてご協力するんです(笑)。
──発表された全バージョンの吹替を収録しようというのが「吹替の帝王」のコンセプトなのですが、今回は、初ソフト化となる吉田さんが演じられたフジテレビ版を含め、全4種類が収録されます。
全部入れるなんてすごい! 当時は、テレビで演じた人はビデオ版ではやれないとかありましたものね。以前に『ターミネーター2』(以下『T2』)で、私のも含めて他の方のバージョンが入る(2009年発売の「~プレミアム・エディション Ver.2.0」)というのを聞きました。
──「往年のTV版吹替でぜひもう一度観たい!」という熱心なファンが多くいらっしゃるんです。吹替版収録を売りにしたソフトも多く発売されているんですが、こういう状況はご存知でしたか?
その『T2』の時に知ったくらいで……。役者を辞めてからは、実は疎いんです(苦笑)。でも、そういう熱心な皆さんがいらっしゃると聞くと嬉しいですよね。でも、昔にやった作品ですから、恥ずかしい(笑)。上手くできていたかな? 自分では分からない部分で、ちゃんとできていなかったんじゃないかと思いますから。

ただ、『エイリアン3』や『T2』みたいに、自分がメインでやって、力を入れた作品については、こういう機会に自分で観てみたいですよね。どんな風にやっていたかって。
──1980年代後半から90年代のフジテレビ「ゴールデン洋画劇場」を中心に、名だたる大作のヒロインを演じられていましたね。
そうなんです。なんだか……すごくやらせていただけました(笑)。シガニー・ウィーバーは3本くらいですよね。『エイリアン3』と『ゴーストバスターズ2』、『死と処女』(ソフト版)もそうでしたね。『トップガン』『告発の行方』のケリー・マクギリス、『氷の微笑』のシャロン・ストーンもやらせていただきました。

そうした中では、シャロン・ストーンみたいな、セクシーな女女している役は、私では珍しいですね。アクション系のヒロインが多かったんです。
──そうですね、“強い女性”のイメージがあります。
なんかもう、皆さんにそのイメージが出来上がっていて(笑)、きっといつも懸垂してるんだろうとか、そういう印象の人も多いみたいで。
──今回の取材の下調べをしていた際に、81年頃のアニメ誌のインタビュー記事を見つけまして。そこでも、「役のイメージと違って本人はおしとやか」という切り口で語られていました(笑)。
それはちょっと言い過ぎですよ(爆笑)。アニメの役で言えば、「アルプスの少女ハイジ」(74年に放送された名作アニメ。演出を高畑勲、画面構成を宮崎駿が手掛けた)のクララが特別な役ですよね。自分がずっとやってきて、おてんばな役が多かった中では、ああいう役はめったに出会えなかったです。

●バレリーナ志望から高校の演劇部を経て、顔出しのドラマで芸能界入り


──毎回「吹替の帝王」のインタビューでは、お子さん時代からどのように声優の世界に入って、主役を務めるようになったかを振り返っていただいています。
そんな、全然大したことないんです。たまたまテレビ局のプロデュサーに知り合いがいて、「女優とかやってみたいな~」なんて軽く言ったら、「いくらなんでも芝居の勉強をしないとダメだよ」と、児童劇団の劇団こまどり(グループこまどり)を紹介されて。

もうハタチくらいになってたと思いますが、NHK教育テレビの「明るいなかま」という顔出しの番組に出演したんですけど、どんどん太ってきちゃって(笑)。そのままいけば結婚するシーンもさせてあげるという役だったのに、その話もなくなっちゃうくらい。それで、こんなに太っちゃったら映像はもう無理じゃない?ということで、「それなら声の仕事があるよ」って、フジテレビの方に紹介していただいたんです。

私、それまでこういう声のお仕事があるなんて知らなかったんです。「トッポ・ジージョ」(マリア・ペレーゴ原作の人形劇のキャラクターで、ネズミの男の子)はよくマネしていましから、声の仕事ってああいうものか、それならできるかもって、すごく簡単に考えちゃったんですね。それで、青二プロダクションを紹介されてオーディションの会場に行ったら……大人しかいないのに子供の声が聞こえてきたりして、うわぁぁ……なにこれ!?って本当にびっくりして。そこからスタートです。
──ちなみに、生年月日とご出身は?
誕生日は1月24日です。生まれた年は、今までどこでも話してないと思います(笑)。出身は東京です。学校は私立の富士見高校(現・富士見中学高等学校)で、そこは演劇部が盛んで、在籍していました。
──子供の頃から演劇にご興味があったんですね。
子供の頃は……バレリーナになりたかったんです(爆笑)。3つからやっていたんですが、それがどんどん変わってきちゃって。演技に興味が出てきたのは随分大きくなってからですよ。踊りには演技の勉強も必要だなと思い出して。
──98年に引退されたこともあって、いま読める吉田さんのインタビューが少ないんです。今回も貴重な機会になると思います。
またデビューしないといけないですね(笑)。

●話題を呼んだ劇場マナーCMのナレーション、そして明かされる「引退の理由」


──そういえば2017年には、イタリア映画『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』のマナーCMのナレーションを、当時のヒロイン・卯月美和役として担当されました。話題になりましたよね。
あれがね……もうね……あのくらいの年齢の役が一番やりにくいんです。ある年齢になると出しにくくなる声で。録っている最中、なんでこんな声を出さないといけないのか……もう低い声でやりたい!って実は思っていました。ですから、あのCMの声が卯月美和の声になっていたかどうかは分からないです。
──吉田さんの声を久々にお聴きできましたし、もちろん当時そのままではないでしょうけど、「今の吉田さんの声」だなと嬉しかったです。
役者を辞めてから随分経ってからなんですけど、韓国ドラマを観るようになったんですね。なんだ……辞めようと思った時期に韓国ドラマが放送されていたら、辞めないでやってたのにって(笑)。あちらの方は上手いですよね。今は芝居を観るのがすごく楽しいです。韓国ドラマは、同じアジア人の顔だから、より自然な芝居に切り替えないと声が浮いちゃうんですね。日本語版でそこは普通に、自然なしゃべり方でやればいいのに……と思いながら観てしまうこともあります。

どうしてもアフレコの時は、モニターがある方に声を掛けちゃうんでしょうね。私が初めてアテレコをやったときも画面が遠くて、家弓家正さんに「お前さ、チリ紙交換じゃないんだから、そんなデッカい声でしゃべるなよ。相手は隣にいるよ」って言われて、そこで初めて気がついたくらいでした。

それから、そうか、声優さんというのはマイクの前に立つと息がひとつ上がっちゃうのかと。もっと普通にスーッっと声を出せばいいんだと。でも、それは辞めてから本当に理解したことなんですね。今はそれを若い子たちに教えたりしています。続けていたらきっと分からなかったこと、他人の芝居を観て気づいた事って多いんです。
──1980年代後半からアニメでのメインが少なくなって、洋画の大きな役が増えてきた印象があるのですが、それは意図的にシフトされたのでしょうか?
意図的にというよりは、アニメ界があんまり年齢の上の人をキャスティングしなかったからだと思いますね。お話が来てもお母さん役ですとか、そうした中で、たまたま洋画が増えていったという感じでした。
──でも「ママは小学4年生」(92年に日本テレビで放送されたホームドラマ。未来からやってきた赤ちゃんを小4の少女が育てるという設定で、オープニングの絵コンテを富野由悠季が担当。吉田は赤ちゃん・みらいを演じた)で0歳の役やられていますね(笑)。
そうなんです。“ゆりかごから墓場まで”じゃないですけれど、役者を辞めたのも、あらゆる役を幅広くやらせてもらったからというのもあります。すごくラッキーでした。恵まれていたと思いますね。
──ズバリお訊きしようと思います。どうして全盛期にお辞めになられたんですか?
あの引退した当時、ちょうどその辺りに、洋画で一番いい役、面白い役を続けていっぱいやったんです。それでもう、この先洋画でそういう女優さんに起用してもらえるかと考えたら、もう無いだろうなと思って。今度はもっと若い人たちが出てくるという予感があったんです。

それと、現場で他人の芝居を観ていて、この子もっとこうすれば良くなるのに……と自分が考えていることに気づいたんですね。もしかしたら、私はマネージャーに向いているのかもしれない、というね。

でも、一番はやっぱり、あらゆる役をやらせていただいた、やりきったというのが大きいです。それこそ、みらいちゃんという赤ちゃんまでやらせてもらえるなんて思ってもいなくて。あれはオーディションがあったんですが、今度は赤ちゃんの役です……ええっ!?って(笑)。台本もなくて、泣き声や笑い声、赤ちゃんのバァバァという息づかい。でも、すごく楽しかったですよ。

●“気づき”を活かして、現在はキャスティング・コーディネーター、声優講師として活躍

──他の方の芝居を観て芽生えてきた想いと、辞めてから気がつかれたことは共通しているんじゃないかと思います。具体的にはどういうことだったんでしょうか?
自分が演じている時は夢中になっちゃって、冷静になれないんです。「なりきり型」なんですね。とにかく一生懸命で全力でやってしまう。それを、そこはそんなに力入れなくてもいいいんじゃない? こういうところはもっと流してしまっていいんじゃない?と考えるようになりましたね。

さっき話した発声の仕方もそうです。新人声優はすべて相手にセリフをぶつけて、考えながら話すセリフまで、相手に掛けたセリフになる。現実で普通に会話するときはそうじゃないでしょ? 顔出しの俳優さんが声優として使われることがありますけど、演技の“自然さ”があるんです。ただ、アニメの場合はちょっとだけ、自然さにプラスαオーバーにするといいのになと思いながら観ています。

アニメと言えば、今はもう私がやっていた時には考えも付かないほどのブリッ子口調。すごいなと思うんですよね。セリフ回しや声色とか、どんどん作り出すじゃないですか。あれをマネしろって言われても、できないですよね。惜しいのは、みんな同じ声に聴こえるというのが……ね。もう少し個性的な人が出てくるといいのになと思います。
──現在は、キャスティング・コーディネーターという肩書きでいらっしゃいますが、実際にはどのようなことをされているのですか?
いま現在関わっている作品はないのですが、アニメ作品1本をまるごとお預かりして、オーディションの初期段階からキャスティングに関わるという職種になります。このキャラクターには、この子、この声がぴったり!という出会いがあったり、見つけてくるのが楽しいですよね。

あとは講師の仕事も多いです。やり始めたばかりの新人たちに色々伝えて、そんな子たちが成長してどんな役を取ってくるかが、本当に楽しみで。
──今話されていたような“気づき”が活かされる、まさにぴったりなお仕事ですね。ご自身が前面に出るわけじゃなく、少し引いたところで全体を見るという感覚は、子供の頃からお持ちだったんですか?
いえいえとんでもない、まったくなかったですね(笑)。子供の頃はどちらかというと、前に出ていきたかった方だと思います。こういう考えになれたのも、一度辞めたからこそ。そうは言っても、そんなに出しゃばってやる役者ではなかったと思いますけれど。
──ちなみに、ごきょうだいは?
兄が上にいて、私が長女。下に弟と妹がいて、男・女・男・女の4人きょうだいです。
──お声のトーンもそうですが、自己がハッキリしている役が多い印象です。長女という育ちが影響を与えているのでしょうか。
そうなんですかね。確かにロボット・アニメでも、主人公に守ってもらう感じではなく、自分で戦ったりする役が多かったですね。

●「ハイジは山へ帰れ!」と思っていたクララ役は、「メグちゃん」がバランスを取っていた!?

──声のお仕事で初めての作品は覚えていらっしゃいますか?
アニメの「アンデルセン物語」(1968年東映動画製作)でしたね。その時も、藤田淑子さん、杉山佳寿子さん、増山江威子さん、富田耕生さんなどなど、そうそうたるメンバーでした。当時はアニメは、あんまり新しい人が入ってこなかったんですよ。私が一番年下で、他はみんな主役級の方ばっかり。そういう方たちの中でやっていたので、すごくラッキーだったんですよね。20代ですね。
──男性の声優にうかがうと、初めての現場は「怖かった」というお話がよく出ます。
もちろん私も怖かったですよ(爆笑)。昔はマイクの前に入れてもらえないとか、よくありましたものね。今のスタジオでは、そういうイジメみたいなものはありませんよね。だけど、そういう目に遭っても、いつかこの人を追い抜いてやるなんて思って、それがバネになってましたから、それはそれで良かったんじゃないかなと思います。
──苦労された思い出はありますか?
苦労を苦労だと思っていなかったと思うんですが……それでも一番苦労したのは、「ハイジ」のクララです(笑)。なんて言ったらいいんでしょう……まず、画がない(笑)。今のアニメの収録でも画はないですが、その走りですよ。真っ白な中に赤い線と青い線が引かれていて、「ハイジが赤」「クララが青」という具合で。演じる側はラジオ・ドラマみたいでしたよね。「魔女っ子メグちゃん」(東映動画製作による1974年放送の魔法少女アニメ)と「ハイジ」は同じ年だったんです。メグちゃんの方が先だったかな。クララはお話の途中から出てきて。

録音監督の浦上靖夫さんが、テイク30とか40とか「はい、もう1回」「はい、もう1回」ってダメ出しされて、そのうちに、何をやってるのか分からなくなってくるんです。そんな時に大ベテランでロッテンマイヤーさん役の麻生美代子さんが、「もう誰の言うことも聞かなくていいから、あなたが感じたまま演じなさい」ってポンと言ってくださって。それが救いでしたね。

だから「ハイジ」の現場にいると胃が痛くて。いつも「早くハイジは山に帰れ!」って思っていました(苦笑)。クララがハイジに再会した辺りからやっと吹っ切れたんですが、それまでは苦労しましたね。クララが泣きながら物語を読むシーンは、深夜まで掛かって、雪まで振ってきちゃって。何回やってもできなくて、悔しくて本当に泣いちゃった思い出があります。今は、そういう経験をしたから良かったんだと思いますけど。
──一方の「魔女っ子メグちゃん」はいかがだったんでしょうか?
「ハイジ」が大変だったから、逆に「メグちゃん」は大好きだったんです(笑)。メグちゃんは「テメー!」「コノヤロー!」っていう男勝りで活発な、クララとは正反対の役じゃないですか。本当に伸び伸びと地のままで演じさせていただいた感じでしたね。「メグちゃん」がなかったら、本当に心のバランスを崩していたような気がします。

「ハイジ」は大ベテランばっかりだったんですね。杉山佳寿子さんって、本物の子供みたいな演技をされるし。上手いし。私は皆さんの足を引っ張ってるんじゃないかって、そんなことばかり考えて参ってました。作品で主人公に「早く山に帰れ!」なんて思ったのは初めてでした(笑)。
──メグちゃんは“地のまま”ということですが、ご自身の内面と近い役の方がやりやすいものですか?
もしかしたら、本当はやりにくいものなのかと思うんですけど、メグは楽しく演じられました。童心に戻れたといいいますか。
──「魔女っ子メグちゃん」の方は、アフレコ時に画はあったんでしょうか?
当時、東映さんの作品はあったんですよ。その代わり、時々海外に外注している回があって、あれ? いつもの可愛い絵柄と違うなとすぐに分かる時があったんですね。

●初の洋画作品は「弁護士ペリー・メイソン」──若山弦蔵のサポートに感動!

──洋画の方はいかがでしたか。初期の頃はどうしてもアニメ作品の方の印象が強いのですが。
洋画もずっとやってたんですよ、アニメと同じ頃から。アニメと洋画をバランスよくやらせていただいたのは、新人で私くらいしかいなかったかもしれません。その頃はなかなか新人が入ってこないから、アニメと洋画の両方の現場で育ててもらえたんだと思います。本当にラッキーでしたね。

声のお仕事があるとは分かってなかったですけど、子供の頃は「ルーシー・ショー」(米CBSで放映。日本では63年から66年にかけてTBS系列で放映された)が大好きでした。ああいう役がやりたかったのかもしれないですね。一度、ルーシーの声をやられた高橋和枝さんに、役は私に引き継がせて!ってお願いしたんですけど、雨蘭咲木子さんが引き継ぎましたね。「パパは何でも知っている」(米NBC放送のホームドラマ。日本では58年から64年まで日本テレビ系で放送)ですとか、「アニーよ銃をとれ」(米製作のTV西部劇。57年から58年までTBS系列、60年から61年までフジテレビ系列で放送)ですとか、TVシリーズがすごく流行った時期ですよね。だから自分が声優を始めた時に、声を聴いていた方たちにスタジオに行くたびに出会うんです。あ、この声はあの人だって。
──初めての洋画作品は覚えていらっしゃいますか?
若山弦蔵さんの作品で、「弁護士ペリー・メイソン」(法廷弁護士が活躍する推理小説シリーズのTVドラマ化。57年から66まで米CBSにて放送。日本でも59年からフジテレビ、TBS、現・テレビ朝日のNETと局を変えて放送された。若山が主演のレイモンド・バーを担当したのは、NET版)だったと思います。

初めてなのに、事務所からは「初めてだと言うな」って言われて現場に行ったんです。おかげでとても恐ろしくて。まったくやり方が分からないわけです。現場に着いてからは他の人がやることをずっと見ていて、なんか紐をあそこに挿したな……なるほど、あれは耳に付けるんだな……うんうん、耳から音が出たらしゃべるんだなって。何しろ「言うな」って言われていたので、誰にも質問できないんですね(苦笑)。それほど、新人が入れない時代でした。
──「何も知らない人間は来るな」という雰囲気だったんですか?
未経験だと、まずいらっしゃる方と同じレベルでは絶対にできないですよね。ベテランの人しかいませんから、作品も出演者全員で当日か前日に1回しか観られず、特にシリーズものなどはリハーサルの後すぐに本番です。その中に入ってやっていかないといけない。さらに恐ろしかったのが、出番が裁判のシーンで、台本の3ページ分しゃべりっぱなしなんですよ、初めてなのに。本当にあわわわわ……となってしまって、皆さんに本当に申し訳ありません、実は初めてで……と謝りっぱなしでした。

その時、若山弦蔵さんがそーっと側にきてくださって、「あのさ、これは初めては無理だから、まずセリフを頭から3行くらい覚えればいいんだよ」と言ってくださって。なるほど、そうかと。セリフを覚えるのは以前からやっていましたから、その場で一生懸命覚えて挑みました。そうしたら、あの若山弦蔵さんが後ろで見ててくださったんです、自分の出番じゃないのに。それで、上手くセリフがアタったら、後ろで「オッケー」ってサインを送ってくださったんです。もう本当に感動しましたね。

汚い話ですが、洋画を始めたときは、下痢が止まらなかったです。ものすごいストレスを感じて、台本を持つ手がカタカタ震えました。でもその音をマイクが拾ってしまうとNGですよね。本当に怖かったですよ、誰ひとりトチらないから。この人たち、機械!?って。

今はリハーサル用にDVDをいただけて、自宅で何度も勉強できるじゃないですか。昔は全員で1回見てそれっきりですよね。だから余計に恐ろしい(笑)。トチると、自分のせいでもう一度みんなで頭から録り直しになりますから、この子どこの子?って、私の名前を確認するためにページを香盤表まで戻すペラペラという音が聞こえるんです。うわあ……と思いましたね(苦笑)。

※このインタビューの続きは、2019年4月26日エイリアン・デーに発売の『エイリアン3<日本語吹替完全版>2枚組 コレクターズ・ブルーレイBOX〔初回生産限定〕』商品内に封入されているインタビュー集でお楽しみください!
(2018年11月26日/於:東北新社/取材・文:村上健一/協力:東北新社、フィールドワークス)

吉田理保子(よしだ りほこ)【プロフィール】

1月24日東京都出身。ディーカラー在籍。富士見高校(現・富士見中学高等学校)卒業後、劇団こまどりに入団。1960年代末期よりアニメ、洋画吹替の世界に足を踏み入れ、数々のヒットアニメや大ヒット映画でヒロインを演じた。キャリア絶頂期だった98年に声優業を引退。マネージャー職を経て、現在はキャスティング・コーディネーター、声優講師として活躍している。アニメの代表作は、「魔女っ子メグちゃん」(74)、「アルプスの少女ハイジ」(74)、「未来少年コナン」(79)、「まいっちんぐマチコ先生」(81)ほか。実写作品では、『エイリアン3』『ゴーストバスターズ2』のシガニー・ウィーバー、『氷の微笑』のシャロン・ストーン、『ターミネーター2』のリンダ・ハミルトン(すべてフジテレビ版)、『マディソン郡の橋』(ソフト版)のメリル・ストリープなどを演じた。

解説&ストーリー

第1作を手掛けたのはリドリー・スコット監督(『オデッセイ』)、第2作はジェームズ・キャメロン監督(『アバター』)と、気鋭監督が飛躍を遂げるきっかけとなっているのが『エイリアン』シリーズのひとつの側面。第3作となる1992年製作の本作は、のちに『セブン』『ソーシャル・ネットワーク』『ゴーン・ガール』を生むことになるデイビッド・フィンチャーの監督デビュー作となった。全米興収は約5,550万ドル、日本でも配給収入19.5億円の大ヒットを記録。男しかいない囚人惑星に降り立ったリプリーが、閉塞感あふれる環境のなか、獰猛なエイリアンに対峙する姿が描かれる。フィンチャーの映像センスと、リプリーがエイリアンに寄生されているという驚愕の展開が出色だ。今回の「日本語吹替完全版 2枚組 コレクターズ・ブルーレイBOX」では、旧ソフト(VHS)版(劇場公開版)、ソフト版(完全版)に加え、フジテレビ「ゴールデン洋画劇場」版、テレビ朝日「日曜洋画劇場」版の吹替音声が初収録。

吹替版のポイント

なによりも注目なのは、2種類のテレビ版吹替がソフト初収録となったこと。インタビューに登場した吉田理保子が参加したのは96年放送のフジテレビ版となるが、彼女がリプリーを演じたのはシリーズ中この1バージョンだけに(ウィーバー役自体は、フジテレビ版『ゴーストバスターズ2』、VHS版『死と処女』で担当している)、ソフト版で演じてきた幸田直子、テレビ朝日版で演じてきた戸田恵子との違いを聴き比べたい。特に、「何かが自分に降りてきてしゃべっている感覚があった」と吉田が証言している、リプリーが囚人を前に演説するシーンに注目だ。また、リプリーに絡む男たちのキャスティングも実力派ぞろい。囚人のリーダー、ディロン役には内海賢二(旧ソフト版・フジテレビ版)、手塚秀彰(ソフト版)、石田太郎(テレビ朝日版)が、医師クレメンス役には小川真司(旧ソフト版)、大塚明夫(ソフト版)、羽佐間道夫(フジテレビ版)、菅生隆之(テレビ朝日版)が名を連ねている。

新着情報
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  • L.A.コンフィデンシャル製作20周年記念版
  • 「コマンドー」アンコール発売
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  • ダイ・ハード/ラスト・デイ

新着情報

2019.2.5「エイリアン3」吉田理保子インタビューを追加しました。

2018.12.5「プレデター2」大塚芳忠インタビューを追加しました。

2018.11.5「Mr.&Mrs.スミス」堀内賢雄インタビューを追加しました。

2018.10.5「ブレイブハート」日野由利加インタビューを追加しました。

2018.9.7「ポセイドン・アドベンチャー」羽佐間道夫インタビューを追加しました。

2017.12.20「劇場版 SPACE ADVENTURE コブラ <4K ULTRA HD>」榊原良子インタビューを追加しました。

2017.11.22「L.A.コンフィデンシャル」江原正士&伊達康将インタビューを追加しました。

2017.10.06「エイリアン2」田中秀幸インタビューを追加しました。

2017.09.22傑作吹替視聴室Vol.26:『猿の惑星』を追加しました。

2017.09.01「エイリアン2」鈴木弘子インタビューを追加しました。

2017.08.25傑作吹替視聴室Vol.25:『エイリアン』を追加しました。

2017.08.04「インデペンデンス・デイ」古川登志夫インタビューを追加しました。

2017.07.28傑作吹替視聴室Vol.24:『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を追加しました。

2017.07.03『インデペンデンス・デイ』山寺宏一インタビューを追加しました。

2017.06.23傑作吹替視聴室Vol.23:『シザーハンズ』を追加しました。

2017.05.26傑作吹替視聴室Vol.22:『LOGAN/ローガン』公開記念!を追加しました。

2017.04.28『ヒート 製作20周年記念版<2枚組>』菅生隆之【後編】インタビューを追加しました。

2017.03.31『ヒート 製作20周年記念版<2枚組>』菅生隆之【前編】インタビューを追加しました。

2017.02.24『ダイ・ハード/ラスト・デイ』樋浦勉インタビューを追加しました。

2017.01.27『サンズ・オブ・アナーキー』森川智之&五十嵐麗インタビュー【後編】を追加しました。

2017.01.06『サンズ・オブ・アナーキー』森川智之&五十嵐麗インタビュー【前編】を追加しました。

2016.12.22『ホーム・アローン』矢島晶子インタビューを追加しました。

2016.12.09『ホーム・アローン』折笠愛インタビューを追加しました。

2016.10.21『王様と私』壌晴彦インタビュー【後編】を追加しました。

2016.10.07『王様と私』壌晴彦インタビュー【前編】を追加しました。

2016.09.09『X-ファイル』戸田恵子インタビューを追加しました。

2016.08.19『ターミネーター』小山力也インタビューを追加しました。

2016.08.12『ターミネーター』大友龍三郎インタビューを追加しました。

2016.07.22『マイノリティ・リポート』佐藤拓也【後編】インタビューを追加しました。

2016.07.08『マイノリティ・リポート』佐藤拓也インタビューを追加しました。

2016.06.24『コマンドー』若本規夫インタビューを追加しました。

2016.06.10傑作吹替視聴室Vol.21:吹替の名盤特集第四弾を追加しました。

2016.05.27『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』小杉十郎太&相沢恵子&春日一伸インタビューを追加しました。

2016.05.13『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』福永莞爾&平田勝茂インタビューを追加しました。

2016.04.15傑作吹替視聴室Vol.20:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第3弾を追加しました。

2016.04.01傑作吹替視聴室Vol.19:吹替の名盤特集第三弾を追加しました。

2016.03.18傑作吹替視聴室Vol.18:吹替の名盤特集第二弾を追加しました。

2016.02.29傑作吹替視聴室Vol.17:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第2弾を追加しました。

2016.01.29傑作吹替視聴室Vol.16:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集を追加しました。

2015.12.04『ウェイワード・パインズ 出口のない街』津田健次郎インタビューを追加しました。

2015.11.13『glee/グリー』坂本真綾&早川陽一インタビューを追加しました。

2015.11.12傑作吹替視聴室Vol.15:吹替の名盤特集第1弾を追加しました。

2015.10.16『Fargo/ファーゴ』森川智之インタビューを追加しました。

2015.09.30『コマンドー』玄田哲章&土井美加インタビューを追加しました。

2015.08.14『エイリアン』大塚明夫インタビューを追加しました。

2015.08.14『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』田中敦子インタビュー第1弾を追加しました。

2015.07.14『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビュー第3弾を追加しました。

2015.07.19『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビュー第2弾を追加しました。

2015.06.30吹替の帝王『エイリアン』幸田直子インタビューを追加しました。

2015.06.30『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビューを追加しました。

2015.06.30吹替の帝王 公式サイトをリニューアルオープンしました!

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