キミは日本語吹替の魅力を知っているか?実力派声優が魅せる【吹替】の真実を堪能せよ!

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PICK UP #25 『エイリアン:コヴェナント』公開記念!『エイリアン』吹替版全5バージョン聴き比べ!

2017年9月15日、大ヒット・SFシリーズ最新作『エイリアン:コヴェナント』が日本公開を迎える。『ブレードランナー』『オデッセイ』などで知られ、前作『プロメテウス』を監督した名匠リドリー・スコットが、今回も引き続きメガホンを執っている。彼の出世作であり、“SF映画の金字塔”のひとつと称される『エイリアン』(1979年)を、吹替えとともに振り返ってみたい。

古典から生まれた革新的映画『エイリアン』

エイリアン
 『エイリアン』とは、かつて弱小映画会社が低予算で脈々と作り続けてきたモンスター映画を、ハリウッドのメジャー・スタジオが莫大な製作費を投じて映画化した大作である。宇宙船内という閉ざされた空間で、ひとり、またひとりと乗組員が謎の生命体に惨殺されていく展開、エイリアンが姿をなかなか見せない出し惜しみ感、エイリアンの幼体が人間の腹を食い破って飛び出してくるショッキングな描写などは、過去のSF映画やモンスター映画ではおなじみのフォーマットである。

 ところが、『エイリアン』は徹底したディティールと究極のリアリズムを加えることで、使い古された設定を革新的な映像に昇華させてしまった。『スター・ウォーズ』が提示した“工業機械のような汚れた宇宙船”の概念を踏襲し、これでもかというほど凝ったミニチュア&セットで格調高いSF空間を作り上げる。ウレタンの着ぐるみ怪獣ではなく、H・R・ギーガーのデザインによる、悪夢を具現化したような硬質で実在感のある“エイリアン”。卵から飛び出す直前のフェイスハガーの、生の鶏肉のような生物感。そして密閉空間での息詰まるエイリアンとの攻防戦。驚くべき映像の数々と緊迫した演出が話題となり、日本でも劇場公開時に配収15億円のヒットを記録した。

全5バージョンの日本語吹替版──それぞれの良さ、聴きどころとは?

 さて、この『エイリアン』は日本語吹替版のバージョンが5種も制作されている。「吹替の帝王シリーズ」第7弾として2014年に発売された「エイリアン<日本語吹替完全版>コレクターズ・ブルーレイBOX」では、これらを完全網羅。今回のコラムでは、その聴きどころを探っていこう。

<フジテレビ版>

エイリアン フジテレビゴールデン洋画劇場版吹替台本(縮刷)
 最初に制作された吹替版は1980年に放送されたフジテレビ「ゴールデン洋画劇場」のものである。リプリーを演じたのは、先日この世を去った女優の野際陽子。一瞬、話題作りの芸能人起用かと思うが、実は野際は「0011ナポレオン・ソロ」のスピンオフのTVシリーズ「0022アンクルの女」で、ステファニー・パワーズ演じる主人公の声を吹替えていたのだ。この番組で吹替えの基礎は叩き込まれていただけでなく、NHKのアナウンサー出身であり発声・滑舌はもともとプロ。リプリーのイメージをそこなうことなく、達者な吹替えを披露している。

 ハリー・ディーン・スタントンは青野武で、『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』で彼の声を演じたこともあり、本作でも担当。『エイリアン』の登場人物は会社員という設定なのだが、一労働者としての軽さや粗忽さを、青野は実にうまく演じている。航海士役のジョン・ハートを演じたのは、仲村秀生。アニメ「宇宙戦艦ヤマト」シリーズの島大介役で知られるが、これは“らしい”キャスティングでニヤリとさせられる。イアン・ホルム演じるアンドロイド、アッシュは、富田耕生が担当。映画やアニメでコミカルな役が印象深い富田が、冷酷なアンドロイドを演じるのは意外性があり、他バージョンでのキャスティング(田中信夫、羽佐間道夫、岩崎ひろし)と比べても異彩を放っている。

 本バージョンで特徴的なのは、宇宙船のマザー・コンピュータである“マザー”を、「おふくろさん」と翻訳している点。コンピュータがまだ一般的でなかった時代、お茶の間にマザー・コンピュータの概念を分かりやすく伝えるべく、このような訳語が使われたと見ていいだろう。また、ナレーションでマザー・コンピュータの説明と、「おふくろさん」と呼ぶ理由をわざわざ解説しているのはこのバージョンだけ(もちろん、原音ではこのような説明は無い)。当時のテレビは今以上に視聴率が命。「いかにしてテレビの前に視聴者を繋ぎ止めておくか」が至上命題で、視聴者にチャンネルを変えさせないために、内容をできるだけ明快・簡素に伝えるテレビ吹替版ならではの工夫だった。

<レーザーディスク版>

 次に制作されたのが、1981年に発売されたレーザーディスク版。ビデオデッキが一般家庭に普及し、レンタルビデオ市場が急成長したのが1980年代半ば以降であることを考えると、吹替版が収録されたソフト(「二ヵ国版LD」として吹替版と原語版が収録)が登場した時期はかなり早い。レーザーディスクの普及を目的に、大手ソフトメーカーがプレーヤーの発売に合わせて専用ソフトを多数発売していた時期でもある。「二ヵ国版LD」はFOXが特に力を入れ、同時期には、『フレンチ・コネクション』『ポセイドン・アドベンチャー』なども発売された。

 本バージョンの特徴は、吹替版翻訳が非常に自然な日本語であること。俳優・声優出身で、『ロッキー』シリーズのテレビ版吹替などを手掛けている翻訳家・木原たけしが台本を担当。木原が得意とする、翻訳調ではない、日常生活でも普通に聞かれるような会話のやりとりに耳を傾けていただきたい。特に、ヤフェット・コットー役の渡部猛と、H・D・スタントン役の北村弘一のやり取りは、口調も台詞まわしも、実際の肉体労働者のリアルな会話そのものだ。リプリーの声を演じるのは田島礼子。『ゴーストバスターズ』のフジテレビ版、『コピーキャット』のソフト版でもS・ウィーバーの声を担当している。アッシュを演じた田中信夫は、VHS/DVD版でも同じ役を演じているが、こちらの方が抑揚を抑えて、よりアンドロイドっぽい演技になっている。
 

<VHS/DVD版>

 3バージョン目として制作された吹替版は、VHS用に制作されDVDにも収録された「VHS/DVD版」。吹替版VHSソフトは、初期はメジャー・スタジオ系ビデオメーカーが中心となって積極的に商品を展開。レンタルビデオ店に吹替版が並ぶ礎を作り上げた。本バージョンの注目のポイントは、起用されたキャストの顔ぶれで、その豪華さからはソフト用吹替版に対する当時の力の入れ具合がうかがえる。

 リプリー役は、70年代末から女優・声優として活動を続ける幸田直子が演じ、その後の『エイリアン』シリーズのソフト版吹替えでS・ウィーバーの声を担当している。いわば、「リプリーの」フィックス声優である。

 トム・スケリットのダラス船長役には富山敬、ハリー・ディーン・スタントンには穂積隆信、ジョン・ハートには納谷六朗というベテランの実力派を起用(ホルム役には前述の田中信夫)。ソフトで繊細な印象の富山、やさぐれた感じの穂積、かすれ声もまじえながら気だるい雰囲気を漂わせる納谷の演技が印象に残る。レーザーディスク版ではマザーの声を担当した榊原良子が、乗組員の1人(ベロニカ・カートライト)を担当しているので、演技の違いも楽しめる。
 

<テレビ朝日版>

エイリアン テレビ朝日日曜洋画劇場版吹替台本(縮刷)
 1992年放送と、グッと新しくなったのが、このテレビ朝日「日曜洋画劇場」版。キャストの人選がこれまでとはガラリと変わり、当時の新人や売れっ子の面々(といっても、現在はすでにベテランの域に達している実力者たち)がキャスティングされている。

 リプリー役は、声優としては当時すでにキャリアを積んでいた戸田恵子が担当し、ダラス船長役は、後に「日曜洋画劇場」のナレーションも任されることになる大塚明夫。マザー役には、メグ・ライアンやリー・トンプソンなど当時人気があった若手スター女優の声を歴任した佐々木優子をキャスティング。千田光男(スタントン)、牛山茂(ハート)など中堅声優が脇をサポートし、ホルムを担当した羽佐間道夫がベテランの貫禄で作品を引き締めるという、絶妙なバランスの配役となっている

 90年代といえば、テレビの洋画劇場が成熟期を迎え、安定した視聴率を獲得していた時期。吹替版の新たなバージョンが作られたのは、放送用のマスターが新しくなった影響(アナログの1インチ素材から、デジタルのD2素材への移行にあたる時期)と思われるが、他局が制作した吹替音声の流用よりも自社制作にこだわる放送局のカラーが色濃く出たキャスティングとも言えそうだ。
 

<ディレクターズ・カット BD/DVD版>

 「テレビ朝日」版から10年あまりを経て登場したのが、2003年に発売された「ディレクターズ・カット BD/DVD」版である。

 リプリー役は、VHS/DVD版から同じ幸田直子が引き継いでいるが、他のキャラクターについては新たにキャスティング。スケリット(ダラス船長)を、「アリー my Love」のロバート・ダウニー・Jrや、『オデッセイ』『スティーブ・ジョブズ』のジェフ・ダニエルズの声で知られる郷田ほづみ、スタントンをソフト版『ダイ・ハード』シリーズのブルース・ウィリス役で有名な樋浦勉、ハートを森田順平(ヒュー・グラント、マシュー・マコノヒーを歴任)、ホルムを岩崎ひろし(C-3PO、スタンリー・トゥッチ、ローワン・アトキンソンなどの声を担当)が演じている。本バーションで出色なのは、全5種の日本語吹替版のなかで唯一の「5.1chサラウンド」であること。最も音の迫力を感じたいなら、このバージョンをお勧めする。

キャスト翻訳の違いに加えて、“時代の違い”も聴き比べてほしい

エイリアン
 さて、全5バージョンの聴きどころをざっと解説してきたが、一作品でこれほどバラエティに富んだ吹替版が制作されるのは珍しい。声優キャストもほとんど重なっていない。演出家や翻訳者によって吹替版の印象が変わるのは当然だが、本作の5つの吹替版は、80年代から00年代までに渡り、異なる時期に制作されている。それぞれの時期を反映した吹替版の言葉や演技がかもし出す“時代の空気”のようなものも聴き比べてみていただきたい。

(Text by 浦木 巧)

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Siringo【プロフィール】

幼少期よりTVで多くの洋画を鑑賞し吹替の魅力にとりつかれる。'02年より株式会社フィールドワークスでソフト制作業務を担当。独自の吹替探索ルートと一般の方から吹替音源の協力を得る方法により、失われた吹替版を多数復刻。『吹替の帝王』シリーズにも協力。現在までに関わった吹替収録ソフトは100作品を超える。

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2017.10.06「エイリアン2」田中秀幸インタビューを追加しました。

2017.09.22傑作吹替視聴室Vol.26:『猿の惑星』を追加しました。

2017.09.01「エイリアン2」鈴木弘子インタビューを追加しました。

2017.08.25傑作吹替視聴室Vol.25:『エイリアン』を追加しました。

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2017.07.28傑作吹替視聴室Vol.24:『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を追加しました。

2017.07.03『インデペンデンス・デイ』山寺宏一インタビューを追加しました。

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2017.01.27『サンズ・オブ・アナーキー』森川智之&五十嵐麗インタビュー【後編】を追加しました。

2017.01.06『サンズ・オブ・アナーキー』森川智之&五十嵐麗インタビュー【前編】を追加しました。

2016.12.22『ホーム・アローン』矢島晶子インタビューを追加しました。

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2016.09.09『X-ファイル』戸田恵子インタビューを追加しました。

2016.08.19『ターミネーター』小山力也インタビューを追加しました。

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2016.07.22『マイノリティ・リポート』佐藤拓也【後編】インタビューを追加しました。

2016.07.08『マイノリティ・リポート』佐藤拓也インタビューを追加しました。

2016.06.24『コマンドー』若本規夫インタビューを追加しました。

2016.06.10傑作吹替視聴室Vol.21:吹替の名盤特集第四弾を追加しました。

2016.05.27『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』小杉十郎太&相沢恵子&春日一伸インタビューを追加しました。

2016.05.13『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』福永莞爾&平田勝茂インタビューを追加しました。

2016.04.15傑作吹替視聴室Vol.20:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第3弾を追加しました。

2016.04.01傑作吹替視聴室Vol.19:吹替の名盤特集第三弾を追加しました。

2016.03.18傑作吹替視聴室Vol.18:吹替の名盤特集第二弾を追加しました。

2016.02.29傑作吹替視聴室Vol.17:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第2弾を追加しました。

2016.01.29傑作吹替視聴室Vol.16:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集を追加しました。

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2015.11.12傑作吹替視聴室Vol.15:吹替の名盤特集第1弾を追加しました。

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2015.09.30『コマンドー』玄田哲章&土井美加インタビューを追加しました。

2015.08.14『エイリアン』大塚明夫インタビューを追加しました。

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2015.07.14『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビュー第3弾を追加しました。

2015.07.19『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビュー第2弾を追加しました。

2015.06.30吹替の帝王『エイリアン』幸田直子インタビューを追加しました。

2015.06.30『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビューを追加しました。

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