キミは日本語吹替の魅力を知っているか?実力派声優が魅せる【吹替】の真実を堪能せよ!

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PICK UP #24 声優のキャスティングに秘められた意図とは?『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の聴きどころ

2017年の夏は“マイケル・キートン祭り”である。8月11日公開の超大作『スパイダーマン:ホームカミング』で、スパイダーマンを追い詰めるヴィラン(悪役)“ヴァルチャー”役として、巨大な翼で(バットマン、バードマンのごとく)空を駆け抜けることに加え、7月29日には、マクドナルドを巨大なハンバーガー・チェーン店へと育て上げたカリスマ経営者、レイ・クロックを演じた実録作『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』が公開。キートンの、気温を数度上げてしまいそうな熱量と圧倒的な存在感を、続けざまに堪能することができるのだ。
 2015年のアカデミー賞作品賞受賞作『スポットライト/世紀のスクープ』でも堂々たる主演を務めるなど、今や引く手あまたのキートンだが、『バットマン』(89)でスター俳優の座を掴んだ90年代以降は、キャリアは低迷していたと言わざるを得なかった。現在の再評価のきっかけとなった作品が、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた、この『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』だったのだ。

マイケル・キートンの声の配役にはワケがある?

バードマン
 さて、今回の吹替版考察の対象作『バードマン~』だが、映画好きならご存知の通り、2014年の第87回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞の4部門に輝いた傑作。翌年の『レヴェナント:蘇えりし者』で2年連続の監督賞を手にするアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が、全編ワンカットという驚きの撮影スタイルで、自作自演の舞台によって実力派俳優としての飛躍を狙う、落ち目俳優の悪戦苦闘をシニカルに描き出すドラマだ。

 スーパーヒーロー映画で一世を風靡しながらも今は落ち目という、当時の自身の境遇そのままのキャラクターを演じたキートンの吹替を本作で担当したのは、牛山茂。多彩な役を演じ分ける性格俳優のキートンらしく、これまで山寺宏一(『バットマン』シリーズ、『ジャッキー・ブラウン』ほか)、谷口節(『パシフィック・ハイツ』『ザ・ペーパー』)、磯部勉(『絶体絶命』ほか)、安原義人(『クローンズ』)など、多くの声優が声をアテてきており、言い換えればマイケル・キートンは“フィックス声優”が付いていないハリウッド・スターともいえる。牛山も2014年版『ロボコップ』でキートンの声を担当しているので、本作への起用はその流れもふまえていると思われるが、ここでは映画本編の内容とも大きく関わっている、と断言しよう。

 牛山茂は声優として洋画や海外ドラマ、アニメなどでも幅広く活躍し、大人気テレビシリーズ『フレンズ』(1994年~2004年)のロス(デヴィッド・シュワイマー)のような軽妙でコミカルな役から、『昭和元禄落語心中』(2016年)『昭和元禄落語心中 -助六再び篇-』(2017年)の松田のような物腰の柔らかい老人の声、気弱な役から冷徹な悪役も自在にこなしている。しかし彼の本来のフィールドは舞台で、シェイクスピアほか古典舞台も数多く上演する老舗劇団「劇団昴」に所属する舞台俳優である。菊池准の演出・脚本による1990年の舞台『アルジャーノンに花束を』では主演のチャーリイ・ゴードンを演じ高い評価を得ている。本作では、キャリア復活を狙う主人公が挑む自作自演の演劇が“劇中劇”として進行するだけに、“舞台俳優”である牛山のキャスティングは、本作の空気感や臨場感を描出するために、敢えて狙ったキャスティングにみえるのである。

エドワード・ノートン=宮本充のキャスティングにも理由あり?

バードマン
 キートン演じる主人公のリーガンと演技合戦を繰り広げる共演者マイク役はエドワード・ノートンで、彼は本作でアカデミー賞助演男優賞ノミネートを受けている。声を担当するのは宮本充だが、彼もまた牛山と同じ「劇団昴」の所属俳優である。『世界中がアイ・ラヴ・ユー』ほかでノートンの吹替歴はあるとはいえ、今回彼が選ばれたのは、牛山と同じ空気を知る舞台人であることも無関係ではないはずだ。ふたりの声優が醸し出す演劇的なライブ感は、キートンが代役として姿を現わしたノートンと軽く演技を合わせようとする序盤の丁々発止のシーンで早くも感じることができる。同じ劇団の釜の飯を食った仲間、いわゆる“阿吽”の呼吸もあるだろう。そういったことを考えると、実に興味深い声の配役になっている。

 そして、宮本の役作りにも注目。元々美声で二枚目役が多く、澄んだ声のソフトな演技でよく知られているが、本作ではノートン本人の独特な声色やしゃべり方に寄せることを重視している。息づかいもぴたりと合わせ、宮本の本来の声とは異なるやさぐれた声で、ビブラートを利かせた“ねっとり”とした特徴的な口調をみごとに再現し、観ているこちらが辟易するような“イタさ”も存分に伝わってくる。

 ノートン演じるマイクの恋人役、ナオミ・ワッツを担当する岡寛恵は、ケイト・ウィンスレットやミラ・ジョヴォヴィッチなどの声で吹替えファンにはおなじみだが、彼女も文学座所属の舞台女優であり、女優特有の悩みや見栄をうまく声で表現している。リーガンの娘のサムを演じるエマ・ストーンの声を担当した武田華は海外ドラマや海外アニメで活躍している声優で、本作での演技が評価されてか、『ラ・ラ・ランド』でもストーンの声を担当している。

『バードマン~』で思い出す舞台を扱った作品──『オール・ザット・ジャズ

バードマン
 さて、『バードマン~』を観て、ふと思い出した作品がある。ブロードウェイの振付師で演出家のボブ・フォッシーが監督した1979年の自伝的作品、『オール・ザット・ジャズ』だ。

 同作は、ロイ・シャイダー演じる演出家の主人公ギデオンが、酒とタバコ、鎮痛剤で身体の不調を無理矢理押さえ込み、新作ミュージカルや映画の製作に悪戦苦闘する姿が描かれる。『バードマン~』では、リーガンのもうひとりの自我として、かつての当たり役“バードマン”が登場して自問自答を繰り返すが、『オール・ザット・ジャズ』では、病床に伏したギデオンが、幻想の世界で女神と対話することになる。なお本作は、1979年の第52回アカデミー賞で、美術賞、編集賞、編曲賞、衣装デザイン賞を獲得。カンヌ国際映画祭でグランプリ賞も受賞している。

『バードマン~』の聴きどころ

バードマン
 劇中劇という設定をより効果的にする、舞台俳優中心の声優キャスティング。そのコラボレーションによって生まれるライブ感は、声優たちにより繰り広げられる、“もうひとつの舞台劇”を提示している。それこそが『バードマン~』の聴きどころと言ってもさしつかえないだろう。そして、渋い演技派の脇役やコミカルな役の声をアテることが多い牛山が、主役を力演している点にも注目。視聴者がよく知っている脇役を演じているときの彼とは、全く異なる声と演技である。舞台俳優・牛山茂による渾身の演技を本作で味わっていただきたい。

(Text by 浦木 巧)

バードマン

Siringo【プロフィール】

幼少期よりTVで多くの洋画を鑑賞し吹替の魅力にとりつかれる。'02年より株式会社フィールドワークスでソフト制作業務を担当。独自の吹替探索ルートと一般の方から吹替音源の協力を得る方法により、失われた吹替版を多数復刻。『吹替の帝王』シリーズにも協力。現在までに関わった吹替収録ソフトは100作品を超える。

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2017.11.22「L.A.コンフィデンシャル」江原正士&伊達康将インタビューを追加しました。

2017.10.06「エイリアン2」田中秀幸インタビューを追加しました。

2017.09.22傑作吹替視聴室Vol.26:『猿の惑星』を追加しました。

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2017.07.28傑作吹替視聴室Vol.24:『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を追加しました。

2017.07.03『インデペンデンス・デイ』山寺宏一インタビューを追加しました。

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2016.09.09『X-ファイル』戸田恵子インタビューを追加しました。

2016.08.19『ターミネーター』小山力也インタビューを追加しました。

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2016.07.22『マイノリティ・リポート』佐藤拓也【後編】インタビューを追加しました。

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2016.06.10傑作吹替視聴室Vol.21:吹替の名盤特集第四弾を追加しました。

2016.05.27『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』小杉十郎太&相沢恵子&春日一伸インタビューを追加しました。

2016.05.13『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』福永莞爾&平田勝茂インタビューを追加しました。

2016.04.15傑作吹替視聴室Vol.20:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第3弾を追加しました。

2016.04.01傑作吹替視聴室Vol.19:吹替の名盤特集第三弾を追加しました。

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