キミは日本語吹替の魅力を知っているか?実力派声優が魅せる【吹替】の真実を堪能せよ!

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PICK UP #23 『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』公開記念!『シザーハンズ』にみるソフト吹替版の秘密と楽しみ方

VFX満載の大ヒット超大作シリーズの最新作がひしめく夏休みシーズンの映画群で、老若男女を問わず最も注目を集めそうなのは、ジョニー・デップ主演のアドベンチャー・シリーズ第5弾『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017年7月1日公開)だろう。デップ演じる海賊ジャック・スパロウのユーモラスかつカッコイイ存在感で、2003年の第一作からに人気を拡大し続けている。実はスパロウという登場人物は、第1作では『スター・ウォーズ』のハン・ソロ的役回りで、第2作以降で転じて“主人公”に格上げされたキャラクターなのだ。今でこそ、個性的なキャラクターを演じて高い人気を誇るデップだが、その人気と実力は奇才監督ティム・バートンの存在があってこそ。バートンとは実に8作品でタッグを組んでいる。今回はその記念すべき初タッグ作である『シザーハンズ』の吹替版を、ビデオレンタル市場との関係も含めて振り返ってみる。

テレビの洋画劇場に追いつけ、追い越せ!『シザーハンズ』の吹替版が生まれた背景

シザーハンズ
 発売中のブルーレイに収録されている『シザーハンズ』の吹替版は、1991年のレンタルビデオ用に制作されたものである。80年代後半からレンタル市場は拡大し、劇場公開の大作となれば10万本近くが全国のレンタルショップに並ぶこともザラ。まさに“レンタル・バブル”で、ビデオメーカーにとってはいわゆる「ウハウハ」の絶頂期だった。

 一方で、この頃からレンタルビデオ用に吹替版(いわゆる「ソフト用吹替版」)が制作されることが増えてきた。当時はどの家庭にもビデオデッキがゆきとどき、レンタルは日常の一部となり、家族で楽しめる吹替版のニーズが高まっていたのである。レンタルショップはそのニーズにこたえるべく、字幕版と吹替版の両方を仕入れるようになった。ところがビデオメーカーにとって、これが第二の「ウハウハ」市場となったのだ。字幕版なら1本しか仕入れなかったショップが、吹替版も追加で仕入れる。メーカー側にとっては売上が2倍になるわけだ。このような理由もあり、当時は弱小のビデオメーカーでも頑張って吹替版を作っていたのである。

 テレビの洋画劇場も当時が最盛期で、東京地区では週に何十本もの洋画が吹替版で放送されていた。テレビ用の吹替版がビデオ用の吹替版と異なるのは、放送枠のため「カット」されること。カット部分を補うための翻訳の改変は日常茶飯事、場合によってはつじつま合わせでストーリー自体も変えてしまうことも(これはこれで面白いが)。

 その点、ソフト用吹替版はノーカットである。安心して原典に忠実に翻訳ができる。ビデオメーカーもバブル期のため、潤沢に吹替制作予算があり、テレビの洋画劇場に負けない豪華な声優を配役できる。こんな好条件が揃っていれば、やる気にならない吹替制作会社などあるはずはない。実際、この時期に制作されたレンタルビデオ用の吹替版は質が高いものが多い(余談になるが、ソフト用吹替版に対抗して、洋画劇場ではさらに声優を豪華にするなど、放送局のソフト用吹替えへの対抗意識が出始めたのもこの頃)。「テレビの洋画劇場に追いつけ、追い越せ!」そういった熱が当時の吹替制作会社にあったのは間違いない。今回ブルーレイに収録されている『シザーハンズ』の吹替版は、まさにそんな時代に生まれた1本なのだ。

『シザーハンズ』の吹替版の豪華声優と聴きどころ

シザーハンズ
 さてそれでは『シザーハンズ』の吹替版をみてみよう。まずは配役の贅沢さに注目である。主演エドワードを演じたジョニー・デップは本作でゴールデン・グローブ賞男優賞(コメディ/ミュージカル部門)のノミネートを受け、その後実力派俳優として飛躍していく。本作ではせりふも少なく、人造人間という設定の、難しいキャラクター。その声を演じたのは塩沢兼人で、アニメの美形キャラの声などで人気があり、彼の二枚目ヴォイスはお茶の間にも浸透していた。洋画吹替えでは80年代~90年代の若手人気俳優の声を演じることが多く、ティモシー・ハットン(『Q&A』『怒りの街ニューヨーク』)、エミリオ・エステベス(『フリージャック』)、チャーリー・シーン(『ルーカスの初恋メモリー』)などを担当した。

 演出家の指示だとは思うが、最初は感情の乏しいエドワードの声を抑え気味に演じ、後半で車泥棒に加担する場面で若者っぽいせりふまわしで感情をあらわにする。このシーンは、エドワードのコミュニケーション能力が上がったということを観客に伝える重要なシーンだが、塩沢の美声と演技があるからこそ、ここの一言がしだいに悲劇へと転じてゆく物語の中で強烈な印象を残す。塩沢は悪役やコミカルな役も器用にこなせる実力派だったが、2000年に急逝したのが本当に惜しまれる。

シザーハンズ
 キムを演じたウィノナ・ライダーは、本作をきっかけに後にデップと婚約(結局は破局するが)。ふたりが心を通わせていく姿は、演技を超えた純粋さを感じさせる大きな見どころだ。彼女の声を担当した玉川砂記子は、子役時代より海外ドラマなどで声優として活動し、ソフィー・マルソー、テータム・オニール、フィビー・ケイツなど洋画劇場の美少女役を多数担当。ちょっと鼻にかかった、健康的なお色気が漂う声が特徴的だが、高めの強い声の持ち主でもあるため、本作のキムのような感情の揺れのあるキャラクターにはぴったりと思える。

 ペグ(ダイアン・ウィースト)には、ベテランの鈴木弘子が配役。カトリーヌ・ドヌーブ、キャサリン・ロス、キャンディス・バーゲン、ジャクリーン・ビセットなど名だたる大女優の声のフィックスでもあり、シガニー・ウィーバー(『エイリアン2』)など近年は強い女性の役も多いのだが、実は本作のようなお人好しでコミカルな役柄も得意。ペグの役柄でも名声演を披露している。

 今では主演クラスの名だたる声優が、本作では脇役・兼役を演じているのにも注目していただきたい。ブラッド・ピットやベン・スティラーの声を担当する堀内賢雄が、初々しさの残る若い声でジム(アンソニー・マイケル・ホール)を演じている。トム・ハンクス、ビル・マーレイ、ブルース・キャンベルの声でおなじみの江原正士にいたっては、本作品では司会者と心理学者、ガヤに近い脇の兼ね役。ところが、役に合わせて声と演技を丁寧に変えていて、演技の力量が既に伺えるのが興味深い。

シザーハンズ
 その他にも、池田勝、嶋俊介、吉田理保子、山田栄子、池田勝、星野充昭、秋元千賀子、片岡富枝など、当時アニメや洋画劇場で活躍していた声優を惜しみなく集結させ、テレビの洋画劇場とまったく遜色のない豪華声優キャストとなっている。

 注目すべきは、発明家(ヴィンセント・プライス)を演じた大木民夫。プライスは二枚目で美声、演技力もあるが、ホラー映画への出演が多かった俳優である。監督のティム・バートンは彼の大ファンで、わざわざ本作に出演してもらったのである。この声を担当した大木は、実は過去にプライスを担当したこともあり(『空飛ぶ戦闘艦』など)、粋な計らいの配役なのだ。プライスの出演シーンは少ないが、大木による流れるような長せりふは、弦楽器のソロ演奏を聴いているような風格と安定感がある。吹替え的には、間違いなく本作の名シーンだ。

 豪華な配役、実力派声優たちの名演技を、『シザーハンズ』の世界でぜひ堪能していただきたい。

(Text by 浦木 巧)

シザーハンズ

Siringo【プロフィール】

幼少期よりTVで多くの洋画を鑑賞し吹替の魅力にとりつかれる。'02年より株式会社フィールドワークスでソフト制作業務を担当。独自の吹替探索ルートと一般の方から吹替音源の協力を得る方法により、失われた吹替版を多数復刻。『吹替の帝王』シリーズにも協力。現在までに関わった吹替収録ソフトは100作品を超える。

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