キミは日本語吹替の魅力を知っているか?実力派声優が魅せる【吹替】の真実を堪能せよ!

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INTERVIEW #43

 トム・クルーズ主演&スティーブン・スピルバーグ監督によるSFサスペンス・アクションの傑作『マイノリティ・リポート』(02)から14年。劇場版では描き切れなかったプリコグ(予知能力者)たちの真実と、犯罪予知システムが失われた未来の姿が、スピルバーグ自身が製作総指揮を務めてついにTVシリーズ化された。劇場版のラストから10年後を舞台に、新たな謎とサスペンスに挑むのは、同作にも登場していたプリコグの1人、ダッシュ。今回のインタビューでは、主人公ダッシュ役のスターク・サンズの吹替を担当した佐藤拓也が登場。作品の魅力と自身のキャリア、そして「吹替ファン」であることまで明かしてくれた。

●今作の参加に際しては、前作を観ただけでなく原作まで読破!

 
マイノリティ・リポート
――佐藤さんは「吹替の帝王」という企画はご存知ですか?
 もちろん! 『ロボコップ』も持ってますし、大塚明夫さんがナレーションの予告動画も毎回楽しみにしてますよ。
――とはいえ、『ロボコップ』は1987年製作で、佐藤さんは84年生まれ……世代ではないですよね?
 子供の頃から「日曜洋画劇場」で観てましたから(笑)。僕、日曜洋画の磯部(勉)さんのバージョンがすごく好きなんです。
――今回DVDがリリースされる『マイノリティ・リポート』のお話からお訊ねします。TVシリーズのベースになった、スティーブン・スピルバーグ監督の映画版はご覧になっていましたか?
このシリーズのアフレコのお話をいただいた時に、前もって見ておいた方がいいだろうと思って、原作小説と合わせて初めて映画を観ました。
――小説まで!
 はい。でもフィリップ・K・ディックの短編集の一篇(「少数報告」)だったので、書店で探した時にタイトルが見つからなくてちょっと苦労しましたけど(笑)。今回話をいただくまで、映画のタイトルは知ってたんですけど、本編を観たことがなかったんです。今観ると、2002年の製作当時に想像されていた未来の姿が逆に新鮮でしたね。ちょっと荒唐無稽だなと思いながらも面白かったです(笑)。あと主役のトム・クルーズが自分の家族のことを思い出す場面が、犯罪予知というモチーフ以上に印象的でした。人間って予知できる未来のことよりも、やはり過去の方に強い思いを抱くものだなあと。CGもものすごいんですけど、生身の人間の考えることって未来を舞台にしたSFでも変わらないんだなと親近感が湧きましたね。

●未来のビジュアルを筆頭に、クライム・サスペンスとヒューマン・ドラマの側面が魅力

 
マイノリティ・リポート
――今回、役が決まった経緯を教えてください。
 吹替の制作会社さんからお話をいただいたんですけど、自分が演じるのがどの役か知らないままに映画を観たんですよ。この映画がドラマになって、その吹替版に僕がキャスティングされているということはうかがっていたんですけど、「トム・クルーズの役じゃないし、一体どの立場の人をやるんだろう?」って思いながら……。
――そんなアバウトにオファーされるものなんですか?(笑)
 いえ、珍しいケースだったと思います(笑)。主人公だとは聞いていたんですが、台本をいただくまで、映画に登場するプリコグ(予知能力者)のダッシュの成長した姿だとは知らなくて。後になって「ああ、あの機械に繋がれていた側だったのか」と。
――しかも映画版のダッシュはあまり記憶に残らない役ですよね。
 はい。姉のアガサは活躍していたんですが、ダッシュと兄のアーサーは最後まで機械に繋がれっぱなしだったので(笑)。だから「その人たちでどうドラマにするの?」と、ドラマを実際に観てみるまで想像がつきませんでした。
――ドラマの最初のエピソードをご覧になった時のご感想は?
 台本と映像が送られてきて、ようやく「未来を予知して事件を未然に防いでいくであろう青年のお話」というのはわかりました。とりあえず“続編”として始まるので、演じる上で映画を観ておいてよかったと思いましたね。あと、ダッシュが若者ならではの正義感で悪に立ち向かっていくのか、過去の贖罪のような物語になるのかが気になりました。ダッシュは実年齢よりも少年のようなキャラクターで、「男の子」と言ってしまっていいと思うんです。彼の能力を使って事件を防いでいくというクライム・サスペンスの側面はありつつ、1人の人間が人生の空白を埋めていくヒューマン・ドラマという意味でも映画版と通じるものを感じました。
――確かにドラマ版は全体を通じてダッシュの成長の物語でもありますね。
 まずビジュアル面で、未来を表現する映像技術の進化が一番分かりやすい魅力ではあると思うんですが、全体を通すと、ダッシュ、アーサー、アガサの三姉弟のドラマなんですよね。最初は、苦楽を共にした姉弟であるが故に、もっとお互い支え合っているのかと思いきや、普通の生活に順応している兄のアーサーがいて、自分たちの力を否定して引きこもってしまった姉がいて、その間にいるダッシュという構図です。アガサもアーサーもどちらも正しいと思うんですよ。2人とも徹頭徹尾一貫していて、しかし正義感の強いダッシュにとってはどちらの生き方も納得できない。その狭間で揺れているのもダッシュの魅力のひとつかなと思います。いわゆる超能力チームみたいな感じでもなく、時に反目しあい、繋がり合いながらという展開で、声優キャストのチームとしても、その辺のやり取りを毎回楽しくやらせていただきました。

●ダッシュ、アーサー、アガサ──三姉弟の役作りは、声優チームで議論を重ねた

 
マイノリティ・リポート
――姉兄弟という家族ならではの関係性は、声優さん同士でどういう風に作り上げていったのでしょうか?
 三姉弟については、配役された声優と、声をアテるキャラクターの年齢のイメージが近かった気がします。三姉弟を演じる声優の中では僕が一番年下で、役の作り方としては、基本的にはぶつかり合いながらも姉と兄を尊敬し、親しみを持ちながら演じる方向でやっていました。お話が進んでいく中でどこまで受け入れていいのか、拒否していいのかみたいな部分をディスカッションしながら作り上げていった感じでしたね。
――収録の現場というと、あまり時間の余裕がないような印象があるんですが、ディスカッションの時間はあったんですね。
 吹替って、大前提としてオリジナルの完成版があるわけじゃないですか。語気の強さだけで表現したり、日本語でそのまま言ってしまうと誤解を生みかねない言葉もあると思うので、言葉の温度、距離感というものを形作っていかないといけない。限られた時間の中ではありましたが、今回はある程度のディスカッションがあってしかるべきだと思いましたし、そういう話をできる声優キャストだったことが非常によかったです。特に今回はシリーズ物でもあったので、話数を重ねるにつれ、お互い徐々に積み上げていく作業ができたと思っています。
――今回、原語と吹替をどっちも聴き比べてみたんですが、佐藤さんたち姉弟3人のイメージと向こうの俳優たちの声がすごく共通していると感じました。
 まず、主演の3人のお芝居がナチュラルだったことが大きかったとは思います。ことさらにドラマチックに演技をするわけではなく、そのテイストを僕らも目で観て耳で聴きつつ、ある程度は踏襲すべきだと思いながら演じました。そういった意味で、わりとマッチしたんじゃないでしょうか。
――みなさんの声のピッチやトーンも非常に近かったように思いました。
 どうでしょう? キャスティングに関してはまずディレクターさんやプロデューサーさんが目星を付けられてのことだと思いますので、役に当てはめられた我々としては、自分自身のナチュラルな声で立ち向かったらいいのか、役のテイストを引っ張ってきて、それを日本語で再現するのがいいのかっていうのは、人それぞれのアプローチだと思うんですね。僕に限って言えば、それほど向こうの彼(スターク・サンズ)の音声に似せたつもりは意識的にはないんです。もし音声のニュアンスに近いものを感じていただけたのであれば、キャラクターとうまく一体化できていたということで、すごくありがたいことです。

●ダッシュのキャラクターと演じた俳優スターク・サンズについて

 
マイノリティ・リポート
――今回のドラマでは、ダッシュの複雑な過去が絡んできますが、演じる上で気をつけられたことはありますか?
 最初に見た時に、ダッシュをヒーローにはしちゃいけないな、と感じました。まずプリコグという存在が、必ずしも未来を100%予知できるわけではない。だからこそ危うい、間違いを犯してしまう部分があって、単純なヒーローではなく、発展途上の青年の姿を演じることに重きを置きました。例えばお話の中ではダッシュは女性と触れ合ったこともないですし、社会の常識もまだ知らない。それが、観ている側からすればクスっとなってしまうところもあるんですが、コメディ・パートだから面白くやろうというのではなくて。僕がそれこそ中学生くらいの男の子だった時に、このシチュエーションだったらどう感じるだろうとか、どういう反応を示すだろうとか、自分の中のナチュラルな反応を確認しながら芝居を作っていった感じです。
――ダッシュを演じているスターク・サンズは、意外に年齢が高いんですよね。
 そうなんです!37歳なんですよね。僕は今年32歳になるんですが、てっきり同い年くらいか、20代そこそこくらいと思い込んでました(笑)。確かにきりっとした表情からは、重ねてきた人生の年輪が感じられるんですけど、ダッシュを演じている時は本当に少年のようなキレイな目をする。後から年齢を知ったので、あのピュアさは彼のお芝居の妙なんだろうなと思いました。彼は目が非常に印象的で、すごく頼りなさそうな子供のような目をすることもあれば、ここは決めるぞといった年相応の目をこする時もあって、目の芝居が印象的な俳優さんでした。
――やはり声の演技も、目の表情から影響を受けるものですか?
 人それぞれだとは思うんですけど、僕は表情から読み取る情報ってすごく大きいと思っています。感情が動いた結果として、表情が変わるわけじゃないですか。じゃあ、なんでその表情になったんだろうというところから芝居を作っていく。むしろ僕自身もその表情に寄せていった方が、芝居を作りやすいんです(笑)。まずダッシュの顔を作ってセリフを言うと「ああ、こういう顔になるのはこういう気持ちだからなんだな」ってひとつ有力な手がかりが増えるんです。逆に表情がないとうか、ポーカー・フェイスなのがアーサーですけど、感情をあまり表に出さない役なので、演じる側にとしては想像のしがいがありますし、元のお芝居からさらにニュアンスを膨らませやすい役でもある。それはそれで面白いですし、演じ甲斐がありそうですよね。

●映画版からのキャラクターも続々登場! TVシリーズ版の魅力とは?

 
マイノリティ・リポート
――収録現場でハプニングや印象的なことがあったら教えていただけますか?
 ハプニングというわけではないんですが、たまたま僕が座っていた席の左隣に、アガサ役の園崎(未恵)さんが座っていらっしゃったんです。それこそ本当に弟を教育するような感じでずっと接してくださって(笑)。現場の空気、テンションを保つという意味ではすごく助かりましたね。逆にアーサーは、ダッシュとしては身構えて話してしまう相手になんですけど、演じる小松(史法)さんはすごくフランクな方なので、気軽に相談しやすかった。いい意味で、役そのままの方とそうでない方がいてくださったので、非常にお芝居が作りやすいバランスの取れた現場でした。
――今回、映画版にもドラマにも出てくるウォリー役を同じダニエル・ロンドンが演じていますが、吹替も映画に引き続いて土田大さんが演じていましたね。
 そうなんですよ。元の映画版の吹替にも参加されていたのは土田さんだけで、ご本人も「10年か……」って歳月を噛みしめていらっしゃいました(笑)。ご本人も貴重なケースだとおっしゃっていましたね。等しく自分も向こうの俳優も年を重ねて、10年後に映画からテレビシリーズにスライドした同じ役を演じるということには、思い入れがあったみたいです。そういう巡り合わせを持てるというのは僕も羨ましかったです。
――ズバリお聞きしますが、『マイノリティ・リポート』のドラマ版の魅力はなんでしょうか?
 未来の描き方はもちろんですが、続きものって前作が存在するからこその楽しみ方があると思うんですね。ドラマの方からご覧になった方は、じゃあ彼らの過去に何があったんだと映画にさかのぼれるし、まだ映画だけしかご覧になってない方には「彼らのその後はどうなったんだろう?」という興味で観られる。最終話にも余韻があって、その後について想像をさらに膨らませる楽しみがあります。僕自身、このシリーズの終わり方はひとつの結末としてすごく納得できました。
――映画版から10年が経って、我々の現実もドラマの中に反映されていましたね。
 はい。自動運転に飽き飽きしてしまった男性がスピード違反で捕まったりとかは、我々の未来でも確実に起こるだろうと思いました。僕が一番リアルだと思ったのは食料問題です。ドラマの中で「昔は牛の肉を食べていたのよ」なんてセリフがあったり、未来では虫を食べることがポピュラーになっていたりとか、今まさに言われている問題がそこかしこにちりばめられている。すごく説得力を伴った作品だと思います。今が未来に追いついたというか、未来の技術や事柄が目前に迫ってきたというか、そこは観る人によって感じ方が違うかも知れませんが、ただの絵空事ではなくて、もしかしたらこうなってしまうんだよと警鐘を鳴らしている作品でもある。そういう意味でもいろんな人に観てほしい作品だと思います。
――そういえば『マイノリティ・リポート』のドラマ版には、トム・クルーズの従兄弟のウィリアム・メイポーザーが出てましたね。アガサに脅迫される役で。
 ええ、従兄弟だったんですか!? あのうだつの上がらない男が!(笑)2エピソードだけ出てきて利用されて死んでしまう、本当にかわいそうな人の役でしたよね。キャスティングした人は確信犯でしょうね。映画ではトム・クルーズが、ドラマでは従兄弟が、アガサから「逃げて」と言われる。そこはもう1回ソフトで観直してみないとですね。

●まさに初心貫徹! 声優を志したのは小学校3年生!

 
マイノリティ・リポート
――ここからは佐藤さんご自身について伺います。最初に声優というお仕事に興味をもたれたのは、いつ頃でしたか?
 声優になろうと決めたのは、確か小学校3、4年生の頃だったと思います。
――ええ! それってかなり早いんじゃないですか!?
 でもその頃だったんですよね(笑)。実家は宮城県なんですが、3歳とか4歳の頃からヒーロー物に憧れたりしていて、男の子なら変身願望って誰でもあると思うんですけど、それがずっと心の中にあって、何か自分以外のものになるような仕事がしたいと思っていたんです。そしてアニメ等を見ていく中で、やはり僕がなりたいのはこういう職業なのかもしれないと思ったのが小学校3、4年生の頃だったんです。声だけで変身前の男の人を演じたり、変身後のヒーローも自分でやれちゃったり。それ以上に、人でない何かになれたりする仕事がある、僕はこれがやりたいと思ったまま今に至ってしまいました。なんとも不器用な生き方をしてしまいました(笑)。
――本物の初志貫徹ですね!
 今では声優さんが歌ったり表に出て来たりと、声優という存在がかなりポピュラーになりましたけれど、僕が子供の頃ってちょうどメディアに出始めた頃だったように思うんですよね。そういう環境の影響も、今思うとあったのかもしれないですね。
――その頃は外画の吹替よりアニメを志望していらっしゃったんですか?
 そうですね。10代の頃はアニメをやりたいなあという気持ちでした。その一方で、地上波では今よりもっと洋画を放送する番組があって、「ゴールデン洋画劇場」「日曜洋画劇場」「水曜ロードショー」と、いろいろ観ていました。NHKの海外ドラマもいろいろ楽しんで観ていた記憶があるんです。すごく昔ですけど「アーノルド坊やは人気者」(1978年から86年にかけて全米放映された30分のシットコム。日本でも地方局を中心に放送された)とか、「天才少年ドゥギー・ハウザー」(1989年から93年まで全米放送。日本では92年からNHK教育テレビの海外ドラマ枠で放送)とか、「フルハウス」(1987年から95年にかけて全米放送。日本では1993年から97年のNHK教育テレビでの放送を中心に人気を博した)とか。

 いま僕が思い出すのは『世界の料理ショー』(1968年から71年まで、カナダ放送協会(CBC)で放送された料理バラエティー。日本語版吹替は大野しげひさ、浦野光、黒沢良が務め、日本ではテレビ東京などで1974年から放送)という番組なんですが、シットコムみたいに観客席の笑い声が入っている料理番組で、僕の田舎でも吹替で放送されていたんですね。トークがすごく軽妙で、そのテンポというか空気感って日本の料理番組にはないようなテンションだった。お客さんを巻き込んでいくショーのようなノリがすごく新鮮で、そういう異文化というか、自分が知らない世界への憧れは当時からあったのかもしれないです。
――声優ではなく、舞台や映像で役者として人前でパフォーマンスをしようとは思われなかったのでしょうか?
 僕の場合は、自分の身体をさらして何かをするということに関して恐れというか、気恥ずかしさもあったとは思うんですが、なによりも声だけでいろんなことが表現できるってことに惹かれたんでしょうね。自分の姿かたちに制限されない、自分の声があれば何だってできる。その可能性に僕は魅力を感じたんだと思うんです。こんなことを言うと諸先輩方に叱られてしまいそうですけれど(笑)。
――小学生で声優を志してから高校を卒業されて専門学校に入るまでには、結構な歳月がありますよね。その間になにかトレーニングのようなことをされましたか?
 トレーニングと言っていいか分からないですけど、中学生の頃に録画した映画のワンシーンですごく好きなシーンがあったら、例えば『グーニーズ』の主役のマイキーのセリフをノートに書き起こして、テレビの音声をゼロにして、ビデオを再生しながら自分の声でマネをしたりはよくやってました(笑)。身の回りにいわゆるお芝居みたいなものを教えてくれる環境がなくて、なおかつ「こういうことをやりたいんだ」という欲求ばかりが膨らんでいく中で、吸収する場がテレビの音声しかなかったので。
――誰かに披露したりはしませんでしたか?
 それは誰にも聞かれないように(笑)。テレビがあった両親の部屋に引きこもって、両親が出かけた後にビデオを再生してこっそりやってましたね。

●憧れの声優は小川真司や内海賢二──浪川大輔、三ツ矢雄二のモノマネもしていた

 
マイノリティ・リポート
――その当時に憧れた声優さんはいらっしゃいましたか?
 あの頃に一番声を聴いていた声優さんというと、小川真司さんですとか、所属事務所(賢プロダクション)の先代である内海賢二さん。テレビで観ていた映画の悪い役をよくやられていて、そういう方々の声って「うわっ悪いヤツ!」って一発で分かるじゃないですか(笑)。ああ、もうこの人は絶対に悪い人なんだなっていうオーラが声からもぷんぷん漂ってくる。その存在感はものすごかったなと今でも思います。僕がよく台本を書き起こしてマネをしていたのは『ターミネーター2』のジョン・コナーをやっていた浪川大輔さん。『ターミネーター2』はよく真似してましたねえ。浪川さんとはよく現場でご一緒するんですけど、恥ずかしくて絶対に言えませんね(笑)。
――アニメーションのマネもやられていましたか?
 はい。アニメもやってました。当時よく再放送でやっていた『タッチ』(1985年から87年に放送された、あだち充原作アニメ。主人公・上杉達也を演じたのが三ツ矢雄二)とか。三ツ矢雄二さんのセリフを書き起こしたりしていました。
――じゃあ、自然な流れで声優の専門学校に行こうと思われたんですね。
 そうです。もう小中高は早く東京に行きたいということしか頭にありませんでした。
――ご両親のご理解を得るのは難しかったりはしませんでしたか?
 よく訊かれるんですけど、僕の両親は「都会で勉強して自分のやりたいことを探す」みたいな経験がなかったようで、だからこそ余計に「行ってみてできるかどうかやってみたら?」とすごく応援してくれました。その点は非常にラッキーでしたし、ありがたかったですね。「ダメな時はダメなんだし、とりあえず30歳までにご飯を食べられなかったら、その時にまた考えたらいい」みたいな、ある意味リミットを切られての上京だったんですけれど。
――それで専門学校の東京メディアアカデミー(現:東京声優アカデミー)に入学されたわけですが、そこで学ばれたことは大きかったですか?
 僕の通っていた学校で吹替の授業を受け持ってくださったのが『タイタニック』とかの吹替演出をされた小林守夫さんという大ベテランのディレクターさんだったんです(妻夫木聡、竹内結子がレオナルド・ディカプリオ&ケイト・ウィンスレットを演じた「旧フジテレビ版」、石田彰と冬馬由美が担当した「日本テレビ版」を手掛けた)。「君たちは農耕民族なのに、古くから肉を食ってる人種の声をやるわけだから、その人たちの息遣いとか身体の使い方っていうのを考えないといけませんよ」と言われたのがとても印象的でしたね。確かに人種が違うのに、英語を日本語に替えて、かつ違和感がないようなお芝居を形作っていくっていうのは、そういうことなんだよなと。埋められない溝を、お芝居なり発声なり表現なりで埋めていかないといけない、そう思った記憶は今でもすごく残っています。
――ただ専門学校を出られても、みなさんが簡単にプロの声優になれるわけではないですよね?
 それは完全に人によりけりだと思うんですが、僕の場合は専門学校に通っていた時に今の事務所(賢プロ)のオーディションを受けまして、それで一応所属声優になれたんです。もともとアニメのキャラクターになりたいという興味で勉強をし始めたはずだったんですけど、勉強していく中で、できれば生身の人間がやるお芝居の声をやっていきたいと思うようになっていきました。それで内海賢二さんを筆頭に、今の事務所の諸先輩方の顔ぶれを見て、ここがいいなと思ったところに、幸運にも拾っていただけて今の自分がありますね。

インタビュー後編はこちら≫

(2016年6月14日/於:東北新社/取材・文:村山 章/協力:東北新社、フィールドワークス)

佐藤 拓也(さとう たくや)【プロフィール】

1984年5月19日生まれ、宮城県出身。賢プロダクション所属。専門学校東京メディアアカデミーの声優ボーカル科を卒業後、声優養成所スクールデュオに入所し、声優としての活動を開始する。海外ドラマを中心に少年役や青年役を中心に活躍。洋画ではアーロン・ジョンソン(『キック・アス』)、ダン・スティーヴンス(『ザ・ゲスト』、「ダウントン・アビー」)、アンドリュー・ガーフィールド(『Dr.パルナサスの鏡』)などの声を担当している。アニメでは「カードファイト!! ヴァンガード」の櫂トシキ、「暗殺教室」の進藤一考、「ジョジョの奇妙な冒険 第2部」のシーザー役などがある。

解説&ストーリー

 名実ともにハリウッドを代表する大ヒット・メーカー、トム・クルーズとスティーブン・スピルバーグが主演&監督としてタッグを組んだ傑作SFサスペンス・アクション『マイノリティ・リポート』を、スピルバーグ自身が製作総指揮を務め、全10話でTVシリーズ化したのが本作。『ブレードランナー』の原作でも知られるフィリップ・K・ディックの短編小説を基に描かれた映画版から10年後の世界を舞台に、同作にも登場したプリコグ(予知能力者)のひとり、ダッシュを主人公とした新たな謎とサスペンスが展開する。ダッシュ役に抜擢されたのは、ブロードウェイで活躍し、2度のトニー賞ノミネートを誇る実力派スターク・サンズ。映画版にも登場した世話係ウォリー役として、同じダニエル・ロンドンがレギュラー出演しているのも注目だ。マサチューセッツ工科大学が監修した、近未来のビジュアルや最先端ハイテク技術の描写も大きな見どころとなっている。

吹替のポイント

 2007年にデビューし、『キック・アス』シリーズ(10、13)のアーロン・ジョンソンのほか、「ガンダム Gのレコンギスタ」(14)ルイン・リー役で知られる佐藤拓也が主人公ダッシュ(スターク・サンズ)を担当。青年役を務めることの多い佐藤らしい、純粋かつ正義感に満ちたキャラクターを作り出している。ダッシュの相棒刑事ヴェガ(ミーガン・グッド)役の小松由佳と、ダッシュの姉アガサ(ローラ・レーガン)役の園崎未恵は、アン・ハサウェイの吹替で知られる2人(『プラダを着た悪魔』は小松、『インターステラー』は園崎)。ダッシュの兄アーサー(ニック・ザーノ)役の小松史法(『トランスフォーマー』シリーズのシャイア・ラブーフも担当)とも合わせて積み重ねられた、ダッシュとの関係性の変化に注目したい。ウォリー(ダニエル・ロンドン)を担当する土田大は、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット役でも知られる実力派。映画版でも今作と同じ役を務めている。

新着情報
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  • L.A.コンフィデンシャル製作20周年記念版
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新着情報

2017.10.06「エイリアン2」田中秀幸インタビューを追加しました。

2017.09.22傑作吹替視聴室Vol.26:『猿の惑星』を追加しました。

2017.09.01「エイリアン2」鈴木弘子インタビューを追加しました。

2017.08.25傑作吹替視聴室Vol.25:『エイリアン』を追加しました。

2017.08.04「インデペンデンス・デイ」古川登志夫インタビューを追加しました。

2017.07.28傑作吹替視聴室Vol.24:『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を追加しました。

2017.07.03『インデペンデンス・デイ』山寺宏一インタビューを追加しました。

2017.06.23傑作吹替視聴室Vol.23:『シザーハンズ』を追加しました。

2017.05.26傑作吹替視聴室Vol.22:『LOGAN/ローガン』公開記念!を追加しました。

2017.04.28『ヒート 製作20周年記念版<2枚組>』菅生隆之【後編】インタビューを追加しました。

2017.03.31『ヒート 製作20周年記念版<2枚組>』菅生隆之【前編】インタビューを追加しました。

2017.02.24『ダイ・ハード/ラスト・デイ』樋浦勉インタビューを追加しました。

2017.01.27『サンズ・オブ・アナーキー』森川智之&五十嵐麗インタビュー【後編】を追加しました。

2017.01.06『サンズ・オブ・アナーキー』森川智之&五十嵐麗インタビュー【前編】を追加しました。

2016.12.22『ホーム・アローン』矢島晶子インタビューを追加しました。

2016.12.09『ホーム・アローン』折笠愛インタビューを追加しました。

2016.10.21『王様と私』壌晴彦インタビュー【後編】を追加しました。

2016.10.07『王様と私』壌晴彦インタビュー【前編】を追加しました。

2016.09.09『X-ファイル』戸田恵子インタビューを追加しました。

2016.08.19『ターミネーター』小山力也インタビューを追加しました。

2016.08.12『ターミネーター』大友龍三郎インタビューを追加しました。

2016.07.22『マイノリティ・リポート』佐藤拓也【後編】インタビューを追加しました。

2016.07.08『マイノリティ・リポート』佐藤拓也インタビューを追加しました。

2016.06.24『コマンドー』若本規夫インタビューを追加しました。

2016.06.10傑作吹替視聴室Vol.21:吹替の名盤特集第四弾を追加しました。

2016.05.27『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』小杉十郎太&相沢恵子&春日一伸インタビューを追加しました。

2016.05.13『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』福永莞爾&平田勝茂インタビューを追加しました。

2016.04.15傑作吹替視聴室Vol.20:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第3弾を追加しました。

2016.04.01傑作吹替視聴室Vol.19:吹替の名盤特集第三弾を追加しました。

2016.03.18傑作吹替視聴室Vol.18:吹替の名盤特集第二弾を追加しました。

2016.02.29傑作吹替視聴室Vol.17:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集第2弾を追加しました。

2016.01.29傑作吹替視聴室Vol.16:『X-ファイル コレクターズブルーレイBOX』特集を追加しました。

2015.12.04『ウェイワード・パインズ 出口のない街』津田健次郎インタビューを追加しました。

2015.11.13『glee/グリー』坂本真綾&早川陽一インタビューを追加しました。

2015.11.12傑作吹替視聴室Vol.15:吹替の名盤特集第1弾を追加しました。

2015.10.16『Fargo/ファーゴ』森川智之インタビューを追加しました。

2015.09.30『コマンドー』玄田哲章&土井美加インタビューを追加しました。

2015.08.14『エイリアン』大塚明夫インタビューを追加しました。

2015.08.14『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』田中敦子インタビュー第1弾を追加しました。

2015.07.14『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビュー第3弾を追加しました。

2015.07.19『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビュー第2弾を追加しました。

2015.06.30吹替の帝王『エイリアン』幸田直子インタビューを追加しました。

2015.06.30『24 -TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』小山力也インタビューを追加しました。

2015.06.30吹替の帝王 公式サイトをリニューアルオープンしました!

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