怒りの葡萄
「女は男より変わり身が早い 男は不器用でいちいち立ち止まる」

不況の嵐で土地を追われ、カリフォルニアに新天地を求めて旅立った貧農一家。苦難の末に辿り着いたが、そこは絶望的な状況だった。長男のトム・ジョ―ド(ヘンリー・フォンダ)を中心に描かれた人間賛歌だが、ドラマを深めているのは母(ジェーン・ダーウェル)の存在。苦境にもめげぬ逞しさと優しさは、一家を抱擁している。過酷な中で社会性に目ざめたトムが家族から離れていくとき、母が「柄じゃないけど」といって息子にキスするシーンは胸を打つ。民衆は生き続ける――。直球で人間の不屈さを描いた感動作です。