フレンチ・コネクション
Beyond the Valley of the Dolls

お前はポーキプシーにいたことがあるな

 現代のアメリカ映画において、それまでの話とは全く関係のない話題を持ち出したセリフとして最も有名になったのは、おそらく粗暴な刑事の“ポパイ”ドイルが発する言葉だろう。凍てつくニューヨークの裏通りで、ポパイは容疑者を壁に叩きつけ、相手の目を直視して「お前はポープキシーにいたことがあるな」と聞く。その質問の意味が理解できず、どう答えたらいいかも分からない容疑者(演じるアラン・ウィークスの演技が素晴らしい)は、ただただ困惑するばかり。そしてポパイが執拗に詰問すると、容疑者はパニックに陥り、恐怖で大きく見開いた目でドイルとしに相棒の刑事を凝視するのだった。そして一方の相棒は、2人の様子を見て笑うのをこらえていたが、なんとか緊張感を維持しようとしていたのだ。

このシーンと、強烈な印象を残すイカれたセリフの双方の文化的な背景は全く違う。それが、迫力あるカー・クラッシュが登場する『フレンチ・コネクション』の中で溶け合ったのである。事実、役者たちが話すセリフ自体、ニューヨークで活躍するアイルランド系の刑事、エディー・イーガンが作り出したものだった。その一部は、容疑者を混乱させてそこから真相を吐かせるという尋問のテクニックとして象徴的な言葉となったのだ。それでも芸術的なレベルで言えば、このシーンはイギリスの劇作家、ハロルド・ピンターの大作“The Birthday Party”を起源としている。その作品では、ある男に2人の正体不明の男が徐々に暴力性を高めながら「なぜ鼻をほじる?なぜニワトリが道を横切った?」と詰問されて窮地に陥っていく場面が1つの見所となっている。

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